パチンコや競馬、競輪といった賭け事にのめり込み、衝動を抑制できなくなる精神疾患。高額な借金や人間関係の破綻などトラブルを引き起こすこともある。治す手段としては、考え方の癖を見直し、行動を変える認知行動療法などの心理療法が中心。厚生労働省は2020年度から、専門的な治療について公的医療保険の対象とした。大阪府で準備が進む、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)が開業した場合、依存症患者が増えると懸念する声も多い。
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依存症の一つ。ギャンブルをしたいという強迫的な衝動から逃れられず、繰り返すうちに習慣化してそればかり考えるようになる。投資金額も徐々に増えるようになり、損失を被ってもやめられず、損失を取り戻そうと興奮してさらにのめり込む。その結果、社会生活に適応できなくなり破綻(はたん)をきたす。仕事にも支障が出て、家庭崩壊や経済的困窮を伴ってもさらに興奮の持続を追い求める。病的賭博(とばく)、病的ギャンブリングとも称される。世界保健機関(WHO)の国際疾病分類International Statiscal Classification of Deseases and Related Health Problems(ICD-10)によって精神疾患のなかの依存症の一つに分類され、さらにアメリカ精神医学会が作成する『精神障害の診断と統計の手引 第3版』(DSM-Ⅲ)のなかで「衝動制御障害」として精神疾患の分類の一つに加えられた。その後、第5版(DSM-5)では、ギャンブル依存症は従来の衝動制御障害から物質依存症と同じ診断カテゴリーへと移動し、公式に物質依存症と同様の病態であることが認められた。そして、ギャンブルのことばかり考え、使う金額がしだいに増え、やめようとしてもやめられない、やめているとイライラして落ちつかない、いやな感情や問題から逃げようとギャンブルをするなどの9項目の診断基準のうち、4項目以上に該当する場合にギャンブル依存症(ギャンブル障害)と診断されるとした。その際、ギャンブル依存症にはそううつ病(双極性障害)などの気分障害を伴うことが多いが、ICD-10やDSMで用いられる「気分エピソード(障害)」のうち、気分高揚や自尊心の肥大などの症状を伴う「躁(そう)病エピソード」(「躁うつ病」の「躁病相」にあたる)と診断される場合は除くこととなっている。日本におけるギャンブル依存症の多くはパチンコやパチスロであるという報告がある。こうした状態から回復するのは容易ではないが、ギャンブルをやめようと努力する人たちが集う自助グループが全国に組織され、共通の問題を解決するために活動している。また、2018年(平成30)にはギャンブル依存症対策として、教育・予防・啓発、医療・相談体制の整備、社会復帰の支援、国や地方公共団体等の責務などを定めた「ギャンブル等依存症対策基本法(平成30年法律第74号)」が成立した。
[松本俊彦 2019年3月20日]
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