ギャンブル依存症(読み)ぎゃんぶるいぞんしょう

日本大百科全書(ニッポニカ)「ギャンブル依存症」の解説

ギャンブル依存症
ぎゃんぶるいぞんしょう

依存症の一つ。ギャンブルをしたいという強迫的な衝動から逃れられず、繰り返すうちに習慣化してそればかり考えるようになる。投資金額も徐々に増えるようになり、損失を被ってもやめられず、損失を取り戻そうと興奮してさらにのめり込む。その結果、社会生活に適応できなくなり破綻(はたん)をきたす。仕事にも支障が出て、家庭崩壊や経済的困窮を伴ってもさらに興奮の持続を追い求める。病的賭博(とばく)、病的ギャンブリングとも称される。世界保健機関(WHO)の国際疾病分類International Statiscal Classification of Deseases and Related Health Problems(ICD-10)によって精神疾患のなかの依存症の一つに分類され、さらにアメリカ精神医学会が作成する『精神障害の診断と統計の手引 第3版』(DSM-Ⅲ)のなかで「衝動制御障害」として精神疾患の分類の一つに加えられた。その後、第5版(DSM-5)では、ギャンブル依存症は従来の衝動制御障害から物質依存症と同じ診断カテゴリーへと移動し、公式に物質依存症と同様の病態であることが認められた。そして、ギャンブルのことばかり考え、使う金額がしだいに増え、やめようとしてもやめられない、やめているとイライラして落ちつかない、いやな感情や問題から逃げようとギャンブルをするなどの9項目の診断基準のうち、4項目以上に該当する場合にギャンブル依存症(ギャンブル障害)と診断されるとした。その際、ギャンブル依存症にはそううつ病(双極性障害)などの気分障害を伴うことが多いが、ICD-10やDSMで用いられる「気分エピソード(障害)」のうち、気分高揚や自尊心の肥大などの症状を伴う「躁(そう)病エピソード」(「躁うつ病」の「躁病相」にあたる)と診断される場合は除くこととなっている。日本におけるギャンブル依存症の多くはパチンコやパチスロであるという報告がある。こうした状態から回復するのは容易ではないが、ギャンブルをやめようと努力する人たちが集う自助グループが全国に組織され、共通の問題を解決するために活動している。また、2018年(平成30)にはギャンブル依存症対策として、教育・予防・啓発、医療・相談体制の整備、社会復帰の支援、国や地方公共団体等の責務などを定めた「ギャンブル等依存症対策基本法(平成30年法律第74号)」が成立した。

[松本俊彦 2019年3月20日]

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百科事典マイペディア「ギャンブル依存症」の解説

ギャンブル依存症【ギャンブルいぞんしょう】

病的ギャンブル,ギャンブル中毒,ギャンブルホリックとも呼ばれる。一攫千金や現実逃避,自我を求めるなどの欲求を,ギャンブルによって満たそうとする病気。WHO(世界保健機関)が1977年に依存症の一つと認定した。アメリカ精神医学協会(APA)では,〈ギャンブルをしたいという内なる欲求をコントロールできない病気〉と定義している。ギャンブルの種類は,パチンコや競馬,競艇などさまざま。特にパチンコに依存するものを〈パチンコ依存症〉ということもある。 アルコールや薬物などの中毒と同じ依存症だが,これらとは異なり外見で判断しにくい分,手遅れになるケースが多い。そうなると莫大な借金を抱え,家族崩壊につながる。米国精神障害診断(DSM-IV)では,ギャンブルのことばかり考える,かなり大金を賭けなければ興奮しない,抑制しようとすると禁断症状が出る,逃避のためにギャンブルをする,家族などにうそをついて隠そうとする,資金づくりのために犯罪を犯す,交友関係や仕事よりもギャンブルを優先する,といった症状を病気の基準とみなす。 ギャンブル依存症に陥りやすい性格としては,自己暗示にかかりやすい,プライドが高く自分勝手,まじめだが意志が弱いなどがあげられ,男性に多くみられる。しかし最近は専業主婦や60〜70歳代の未亡人にも目立つようになった。特に子育て中の母親が陥った場合は,子どもへの影響が心配される。近年日本では,母親がパチンコをしている間に,車内に放置された幼児が脱水症状などで死亡する事故も発生し,問題になっている。 米国では,ギャンブラーズ・アノニマス(Gamblers Anonymous=GA)と呼ばれる治療グループがあり,治療や相談を無料で行っている。ここでは,患者の匿名性,無宗教性,どんな小さな賭けも決してしない,という3つの哲学を治療の方針としている。定期的に会合をもち,患者どうしが正直に話し合い,励まし合いながら回復へと向かうように指導をする。日本でも,この治療法を実践している施設がある。→アルコール中毒薬物依存症
→関連項目買物依存症

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