ギルディッド・エイジ(読み)ぎるでぃっどえいじ(英語表記)Gilded Age

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ギルディッド・エイジ
ぎるでぃっどえいじ
Gilded Age

金箔(きんぱく)時代、金ぴか時代、金めっき時代などともよばれる。狭義には、アメリカ合衆国史上、南北戦争の終わった1865年から73年の恐慌までの時期をさすが、一般には、より広く、南北戦争終了から90年代なかばごろまでの19世紀後半の時期をさすものとして用いられる。19世紀後半のアメリカは、「第二次産業革命」ともよばれる未曽有(みぞう)の経済膨張と都市化の進行がみられた時代であり、「ロバー・バロンズ」(強盗貴族)とよばれる資本家たちの手段を選ばぬ強引な蓄積が進み、早くも独占の時代へと足を踏み入れた。これに伴い、経済と政治の癒着、腐敗が深まり、多くの疑獄事件が生じた。この間、共和党、民主党はともに実業界との結合を深める一方で、「ボス・マシーン」による組織化を通じて選挙民の掌握に努め、両党の力は拮抗(きっこう)した。思想の面では、無秩序な経済競争を是認する「自由放任主義」(レッセ・フェール)や、競争のなかで勝利した資本家の立場を正当化する「社会ダーウィン主義」(社会進化論、ソーシャル・ダーウィニズム)が幅をきかせた。文化の面でも、皮相で物質主義的な「成り上り趣味」がはびこった。
 しかし、このような時代相の背後では、農産物価格の下落に悩む農民たちの抗議、労使紛争の激化、知識人や改革者たちからの産業化や都市化のもたらす矛盾への批判などが渦巻いていた。それらは、1893年の恐慌を一つの契機として噴出し、「動乱の90年代」を現出させ、96年の大統領選挙へと収斂(しゅうれん)していった。この時代の挑戦を乗り越えるなかで、アメリカの政治、経済、社会は、「自由放任」体制から、社会の各利益集団の利益調和に政府が関与する体制への転換を開始した。この意味で、ギルディッド・エイジは、南北戦争期と革新主義期との間の重要な過渡期をなす。なお、「ギルディッド・エイジ」という呼称は、マーク・トウェーンとチャールズ・D・ウォーナーCharles Dudley Warner(1829―1900)が1873年に出版した同名の小説に由来する。[横山 良]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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