改訂新版 世界大百科事典 「ギンザケ」の意味・わかりやすい解説
ギンザケ (銀鮭)
coho salmon
silver salmon
Oncorhynchus kisutch
サケ目サケ科の魚。北太平洋水域に広く分布するが,日本で遡上(そじよう)する数はきわめて少なく,北洋船団などによる沖取りが多い。体は比較的細長く側扁し,頭部は円錘状。うろこは比較的大きく,体色は銀白色で背はやや蒼青色で黒点が散在する。生後満2~3年を経て成熟し,4年魚では体長85cmに及ぶものがある。生殖期の雄は鼻先が突き出て下方に湾曲し,眼の後方のえらぶたに紅色の帯が現れる。また,体側は朱紅色を帯びて,それを横断する緑色の斑紋が現れる。1腹の卵数は約6000個にも達する。北千島からアラスカでは8月中旬~9月中旬に遡上して10月下旬に比較的河口近くで産卵する。孵化(ふか)後1年ないし2年を淡水中にとどまってから降海する。稚魚のパー・マークは大型で目だつ。降海期の稚魚には背びれの先に銀毛ヤマメと同じく黒色の斑紋を有する。肉は薄桃色でベニザケよりもやや色が薄くカラフトマスより濃い。味はよく,おもに缶詰にされ高級品である。
執筆者:松下 克己
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報