ロシア中部のクズネツク盆地にあり,ドネツ炭田と並び称される大炭田。クズバスKuzbassとも称されるが,その場合は炭田を中心として発展した重化学工業地帯を称することが多い。西シベリアのケメロボ,ノボシビルスク両州とアルタイ地方にまたがる。クズネツク盆地はカンブリア紀末期に形成され始めた面積約7万km2の大型盆地で夾炭層は約2万7000km2に及ぶ。最初に夾炭層が生じたのはデボン紀中期であるが,主夾炭層は石炭系からジュラ系に堆積した。夾炭層はさまざまに変形し,外縁部は強褶曲,所によっては過褶曲を形づくり,盆地の中心近くは円形の短褶曲構造,東部は単斜構造,緩褶曲である。炭層は200層以上,総炭丈は300m以上に達するが,大部分は炭丈1.3~3.5mで,9~12mのものがそれに次ぐ。最大部では炭丈20~30mに達するものもある。埋蔵量は約8000億t。炭質は歴青炭,亜歴青炭であり,出炭量はロシアの約35%を占める。
石炭は1721年M.ボルコフにより,まずケメロボ地区で発見されたが,最初の採掘は1851年であった。97年ころからはシベリア鉄道用炭採掘のために多くの企業が成立し,カルテル化がすすんだ。ソビエト政権下では1932年にウラル・クズネツク・コンビナートが完成し,一躍シベリア最大の重工業地帯となった。90年には七つの石炭生産公団で88の炭坑(露天掘り20,坑内掘り68)が1億4000万tの出炭をしたが,94年の出炭量は9370万tと落ち込んでいる。生産の約3分の1は露天掘り,5%は水力採炭法によっている。出炭分の約2分の1は西シベリアで消費され,20%がウラルへ,30%程度がヨーロッパ部へ移出される。この地方は重化学工業地帯でもあり,クズネツク冶金コンビナート,ケメロボ化学工場などの大型企業がある。シベリアで最も人口密度の高い地方である。
執筆者:渡辺 一夫+大橋 脩作
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