グアバ(読み)ぐあば(その他表記)guava

翻訳|guava

デジタル大辞泉 「グアバ」の意味・読み・例文・類語

グアバ(guava)

フトモモ科の小高木。分枝が多く、葉は卵形で、煎じたものをグアバ茶として飲む。果実球形または卵球形で香りがあり、食用熱帯アメリカの原産ばんじろう。ばんざくろ。

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精選版 日本国語大辞典 「グアバ」の意味・読み・例文・類語

グアバ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] guaba ) フトモモ科の小高木。分枝が多く、葉は卵形。果実は球形または卵球形で食用。熱帯アメリカの原産。ばんじろう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グアバ」の意味・わかりやすい解説

グアバ
ぐあば
guava
[学] Psidium guajava L.

フトモモ科(APG分類:フトモモ科)の常緑小高木。バンザクロ蕃石榴)、バンジロウともいう。熱帯アメリカ原産。紀元前800年、すでにペルーインディオが果実を利用していた。いまでは世界の熱帯ないし亜熱帯に伝わり帰化植物として、ニュー・カレドニア、フィジーなどでみられるように繁殖しすぎて害をなしている所もある。沖縄にも古く伝えられた。分枝が多く葉は草質で卵形または長楕円(ちょうだえん)形で交互に対生、つぶすと強い芳香がある。花は腋生(えきせい)し径約3センチメートル、多くは単生する。他家受精率が高い。果実は球形、倒卵球形または洋ナシ形で長さ5~10センチメートル、径5~7センチメートルで宿存萼(がく)がある。熟果は表面は滑らかで黄ないし黄白色を呈し芳香がある。果肉は淡黄ないし黄白色または淡紅紫色で甘味があり、パルプ状の心部には多数の小さな硬い種子がある。栽培品種のなかには1果で400グラムを超える品種もある。繁殖は実生(みしょう)による場合が多いが、共台(ともだい)利用による芽接ぎ、切り接ぎも多い。栽植は5~10メートル間隔にするとよい。近縁種ストロベリーグアバ、コスタリカグアバ、ブラジルグアバなどがある。

[飯塚宗夫 2020年8月20日]

利用

果実、葉にビタミンCが多く、果実にはビタミンAも多い。果実は生食のほか、保健飲料としてのグアバジュースの原料とする。ゼリーとしての利用も多い。ジャムや缶詰にもし、シチュータルトにも用いる。葉は保健用として煎(せん)じて用いられ、タンニンが多いので黒色染料とする。材は緻密(ちみつ)で細工用に、インドでは生木(なまき)をラックカイガラムシ(分泌物を塗料に用いる)の飼養に供する。

[飯塚宗夫 2020年8月20日]


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改訂新版 世界大百科事典 「グアバ」の意味・わかりやすい解説

グアバ
guava
Psidium guajava L.

フトモモ科の常緑低木で,その果実からは果物ジュースのなかで最もビタミンに富むグアバ・ジュースができ,これは保健食品として価値が高い。バンジロウともいう。近年,その葉を用いたグアバ茶は高血圧に有効といわれる。熱帯アメリカが原産地であり,新大陸発見後,急速に世界の熱帯~亜熱帯域に広がった。台湾には17世紀に伝播(でんぱ)し,沖縄にもそのころ渡来した。果実はセイヨウナシ形が多く,果頂部に萼片が残り,ザクロに似るため,バンザクロ(蕃石榴)の別名もある。果肉は白色,桃色,紅色など変異に富む。果実にはゴマ粒大の種が多く鳥によって伝播しやすく,熱帯の離島に野生化した林もみられる。花は白く腋生(えきせい)である。果実は生食するが,最大の用途はジュース生産である。ペクチンを含むので砂糖を加えて煮るとジャムができる。シチュー料理にも適する。葉を茶に利用する風習が台湾にある。飼料にも利用される。近縁種にテリハバンジロウP.cattleianum Sabine(英名strawberry guava)と呼ばれる,小果実で庭園樹となるものがある。
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食の医学館 「グアバ」の解説

グァバ

《栄養と働き&調理のポイント》


 グァバは熱帯アメリカ原産で、日本でも沖縄や鹿児島南部で栽培されています。
 果実は球形、洋ナシ型があり、果肉の色も、白色から淡紅色まであります。
○栄養成分としての働き
 グァバの特徴は、ビタミンCが豊富なことです。100gあたりの含有量は220mgと、くだもののなかでは第2位を誇り、中程度の大きさのものなら2分の1で1日の必要量を摂取することができます。このため美容はもちろん、かぜの予防にも有効です。
 さらに赤肉種はカロテンが100g中600μgと多く、粘膜(ねんまく)の免疫力を高めます。
 またカロテンには抗酸化作用があるので、肺がんなど粘膜のがん予防や老化防止に役立ちます。カロテンはビタミンCといっしょにとると、紫外線への抵抗力を増すことが知られています。
 グァバの葉にはインスリンの作用に似た成分が含まれていて、この成分が血糖値を下げることが判明しており、軽度の糖尿病には効果が期待できます。
 また糖質の分解を助け、エネルギーの代謝を促進するビタミンB群も含まれており、疲労回復にも期待ができます。

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百科事典マイペディア 「グアバ」の意味・わかりやすい解説

グアバ

バンザクロ,バンジロウとも。フトモモ科の常緑小高木。樹高は4〜9mになる。熱帯アメリカ原産で,紀元前からインディオが利用していた。樹勢は強健で栽培は容易であり,現在世界の熱帯,亜熱帯で栽培されている。果実は球形,セイヨウナシ形,倒卵形で20〜400g,縦径約5〜13cm。果皮は熟すと黄色,果肉は白色になるものが多く,特有の麝香(じゃこう)臭がある。甘味と淡い酸味がある。果実には100g当り150mgものビタミンCが含まれているほか,ビタミンAやカルシウム,リンなどを含み栄養価が高い。生食のほか,ジュースやジャム,ゼリーなどに加工される。日本では沖縄や南九州で栽培されているが,カリフォルニアやハワイ,メキシコから加工品が輸入されている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グアバ」の意味・わかりやすい解説

グアバ
guava

フトモモ科バンジロウ属 Psidiumの樹木およびその果実をさす (→バンジロウ ) 。熱帯アメリカ原産。樹皮がむけるため赤く平滑な幹が目立つ。果実は球形または洋なし形で直径 7cmぐらい,黄熟する。果肉は白色または淡紅色で,香気と酸味がありビタミンCに富み,そのまま食べたりジャムをつくる。同属の別種キバンジロウ P. littoraleも果樹として熱帯でよく栽培される。

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栄養・生化学辞典 「グアバ」の解説

グァバ

 [Psidium arboreum],[P. guajava].フトモモ目フトモモ科バンジロウ属に属する.果実を食用にする.芳香がある.

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世界大百科事典(旧版)内のグアバの言及

【ラガシュ】より

…メソポタミア最南部,古代シュメール地方の都市。前3千年紀中葉の初期王朝期III期にはギルスGirsu(現遺跡名テルローTelloh),ラガシュ(現名ヒバal‐Hiba),シララSirara(現名スルグルSurghul),グアバGuabba(現名不明)の主要4地区がラガシュ都市国家を構成していた。主王宮はギルスに存在し,ギルス,ラガシュ,シララは運河により連結し,グアバはこれらより数十km離れていたらしい。…

※「グアバ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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