グラス(ガラス食器)(読み)ぐらす(英語表記)glass

翻訳|glass

日本大百科全書(ニッポニカ)「グラス(ガラス食器)」の解説

グラス(ガラス食器)
ぐらす
glass

ガラス食器のうち、主として飲み物を入れる器をいう。グラス原形家畜の角(つの)で、古代の西洋ではウシなどの角を用いて酒を飲んでいた。やがてこれを模したリュトンとよばれるものがつくられるようになるが、底がとがっていてテーブルなどに置けないため、これに脚や平らな底がつけられるようになった。さらに、酒の発達とともに用途に応じたさまざまなものがつくられるようになり、現在に至っている。用途によりアルコール飲料用と清涼飲料用に大別され、アルコール用はさらに、ストレートの酒類を入れるものと、カクテルを入れるものに分けられる。

 ストレートの酒類を入れるものには、ウイスキーグラス、シャンパングラス、ブランデーグラス、ワイングラス、リキュールグラスなどがある。ウイスキーグラスは、ウイスキーをストレートで飲むためのもので、タンブラーを小形にしたような形をしており、シャンパングラスは口径が広くて底が浅く、脚がついている。ブランデーグラスは脚が短くて口径が小さく、底が膨らんで広くなっているが、これは、ブランデーの香りを逃さないようにする一方、手で温めたときに香りが出やすくなるように考えられたもので、材質も薄手である。ワイングラスには、細くて容量の少ない白ワインやシェリー用グラス、赤やロゼ用のすこし丸みのあるグラス、ポートワイン用の上部がつぼまったグラスなどがある。白ワイン用グラスのほうが赤ワイン用に比べて容量が少ないのは、飲み方の相違からで、白ワインは冷やして飲むため、すぐまた注げるようにくふうされたものである。これに対し、赤ワインは常温で飲むため、白ワイン用より容量が多くなっている。強い酒をストレートで飲むためのリキュールグラスも、容量は少ない。

 カクテルを入れるカクテルグラスには逆円錐形のものと丸形のものがあり、いずれも脚がついている。容量は普通60~70ミリリットルで、カクテルの種類により、脚のない細長いグラスが用いられることもある。このほか、ほっそりした形で脚つきのサワーグラス、小さい取っ手のついたパンチグラス(パンチボウルとセットになっていることが多い)などもある。

 清涼飲料用としては、タンブラーやゴブレットなどがあり、普通平底のコップ形のものをタンブラーといって(シリンダー形ともいう)、容量が5、6、8、10、12、20オンス(1オンス=約28.41ミリリットル)のものがある。ゴブレットというのは、タンブラーに脚をつけたような形のグラスの総称で、容量は240ミリリットルくらいである。そのほか用途により、各種のパフェやサンデーなどを盛るためのパフェグラス、サンデーグラス、ビールのジョッキ、冷茶用グラス、アイスティー用グラス、飲み物ではないがオイスターカクテル用のグラスなども含まれる。

河野友美大滝 緑]

材質と選び方・手入れ

グラスには各種のガラスが使用されているが、ガラスの質によって中に入れるものの味が影響されることがある。とくにワインやウイスキーなどは、液の色がきれいに見えるかどうかで味わいに大きな影響が出るため、セミクリスタルガラスなどの光の屈折率が高いものが多く使用される。着色ガラスの場合も、中に入れるものとあったグラスを選ばないと、飲み物が汚い色に見えるので注意を要する。一方、家庭で日常用いられるグラス類には、強化ガラスなどを使ったじょうぶなものがよい。またグラスは、上下からの圧力には強いが横からの衝撃には弱いので、収納するときなどグラスどうしが当たらないよう、すこし間をあけて並べるとよい。

 洗うときには傷がつかないようにスポンジで、微温湯中性洗剤を加えてよく洗い、ほぼ乾いたころにふきんで磨くようにしてふくと、きれいになる。なお耐熱性の低いガラスを使用したものは、熱湯で洗うと破損することがある。また、クレンザーや金属たわしなどで洗うとグラスに傷がつくので、使用しないほうがよい。

[河野友美・大滝 緑]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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