ドイツの社会学者。ウィーン大学、ベルリン大学、パリ大学で言語学、哲学、社会学を学んだ。第二次世界大戦中はスイスに亡命していたが、戦後1949年ケルン大学の教授としてウィーゼに招聘(しょうへい)され、1974年に退官した。戦後のドイツ社会学を代表する学者の一人。戦前のドイツ社会学に対する批判的立場から、積極的にアメリカ社会学の導入を図った。とくにドイツにおける実証的研究調査の発展のために、ケルン学派を主宰し実績をあげた。専門分野は当初「家族」を主としていたが、理論、学説史、調査法、社会心理学、産業、マスコミなどきわめて広範にわたっている。同時に社会学の「現在科学的」立場を標榜(ひょうぼう)し、「経験的社会調査」の実績を方法論とともに確立した。ドイツにおける伝統ある『ケルン社会学および社会心理学雑誌』の編集責任者として学会に寄与するとともに、世界各地の大学で客員教授を務めるかたわら、国際社会学会をはじめ各種学会の役員として活躍した。主著に『マキャベッリ』(1941)、『現代の社会学』(1949)などがある。
[鈴木幸寿]
『鈴木幸寿・佐藤智雄訳『現代の社会学』(1957・誠信書房)』▽『片岡律子・小川さくえ訳『マキアヴェッリ――転換期の危機分析』(2001・法政大学出版局)』▽『Heine von Alemann, Gerhard Kunz(Hrsg.)René König : Gesamtverzeichnis der Schriften(1992, Opladen)』
ドイツの印刷技術者。動力印刷機の製作を志し、出資者を求めて1806年イギリスへ渡り、ロンドンの印刷業者のために動力を用いたねじ式印刷機を製作した(1810)。ついで、ニコルソンの発明にヒントを得て、印刷技術史上に画期的な最初の円圧型印刷機を製作し(1811)、さらに当時世界最大の新聞『ロンドン・タイムズ』のために複動型の円圧印刷機を1814年に完成した。同年11月29日付け『タイムズ』紙は、この新聞が蒸気力で運転される印刷機によって毎時1100枚の速度で印刷される最初のものであると報道した。その後帰国し、同郷の親友バウアーAndreas Bauer(1783―1860)とともにウュルツブルクに印刷機製作工場を設け(1817)、高速輪転機を製作した。この会社はケーニヒの没後バウアーが、バウアーの没後はケーニヒの子が経営し、高い技術水準を維持した。
[山崎俊雄]
ドイツの物理学者。ケーニヒスベルクに生まれ、ケーニヒスベルク大学で物理学の学位を取得、以後パリに移った。パリでは数年間バイオリン製作の修業をしたのち、1858年からさまざまな音響装置の製作と実験を行った。1862年のロンドンの万国博覧会には「躍り火」装置を出品、金賞を得た。これは、らっぱを通して集められた音の振動が装置に備えた膜を震わせ、それによる炎の形の変化を観測するという装置であった。そのほか、回転ドラムに音波を記録する装置、いくつかの母音を人工的に合成するための音叉(おんさ)と共鳴器との組合せ装置なども知られている。また人間の可聴音域を精密に測定し、最高値が年齢によって低下することを自ら確認した。1882年、数多くの実験を『音響学の諸実験』と題して本にまとめ刊行した。
[高山 進]
ドイツの技術者,印刷業者。ザクセンの生れ。バウアーAndreas Friedrich Bauerと協力,1811年蒸気機関と連動できる輪転式印刷機を発明,15世紀以来大きな変化のなかった印刷技術を革新した。17年バウアーと共同でビュルツブルクに印刷機製造工場を設立。高速輪転機の生産を行い,漸次大量生産に入りはじめた19世紀前半の新聞・出版業に,格好の生産手段を提供する。1813年イギリスの《タイムズ》がこのケーニヒの輪転機を買い(この機械で印刷を開始したのは1814年11月29日号から)日刊紙生産に大変化をひきおこすのが,そのことを象徴している。
執筆者:香内 三郎
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… なおアングロ・サクソン語のシブsib,古高ドイツ語のジッパsippa,ゴート語のシブヤsibjaなどの系統の語は,ケルト語系のクランclanの語とならんで,こんにち氏族を意味する術語として用いられているが(英語sib,ドイツ語ジッペSippe),その本来の意味は明確ではない。むしろ,原始インド・ヨーロッパ語の語根ganに由来するサンスクリットのガナスganas,ギリシア語のゲノスgenos,ラテン語のゲンスgensなどと同系統の,ゴート語のクニkuni,古代北ヨーロッパ語やアングロ・サクソン語のキンkyn(英語のキンkin),中高ドイツ語のキュンネkünneなどの中に,ゲルマン人自身が氏族を意味したことばがあって,後日〈国王〉を意味するクニングkuning(ドイツ語ケーニヒKönig)の語は,もと氏族長あるいは部族長を意味したものではないかという。
[アステカとインカ]
モーガンは,16世紀の初めにスペインの征服者と対決したメキシコのアステカ族の政治機構を,ヨーロッパ人の諸記録にもとづいて検討した結果,歴史家がこれを王国とか帝国とか称するのは,まったく想像上の擬制にすぎず,事実は,アステカの国家なるものは,イロコイ諸族と同様の,氏族―胞族―部族という組織の上に形成された3部族の連合体であったことを,とくに《古代社会》の1章をさいて詳論している。…
…このころはちょうどナポレオンが台頭してきたときであり,新聞発行部数も激増していたので,高速印刷機の出現が要望されていた。1814年,タイムズ社の要請によってドイツ人ケーニヒFriedrich König(1774‐1833)とバウアーAndreas Friedrich Bauer(1783‐1860)は押胴式印刷機を作って,平らな版盤を往復させ加圧して印刷する近代的方法を発明した。従来,夜半の12時に原稿がそろうと,朝の6時までに12台の印刷機に1台あたり2人の工員がついて,交代で印刷しても1万部印刷するのがやっとであったが,ケーニヒとバウアーの機械では,1台に2人がついて約1万枚を刷ることができた。…
…このころはちょうどナポレオンが台頭してきたときであり,新聞発行部数も激増していたので,高速印刷機の出現が要望されていた。1814年,タイムズ社の要請によってドイツ人ケーニヒFriedrich König(1774‐1833)とバウアーAndreas Friedrich Bauer(1783‐1860)は押胴式印刷機を作って,平らな版盤を往復させ加圧して印刷する近代的方法を発明した。従来,夜半の12時に原稿がそろうと,朝の6時までに12台の印刷機に1台あたり2人の工員がついて,交代で印刷しても1万部印刷するのがやっとであったが,ケーニヒとバウアーの機械では,1台に2人がついて約1万枚を刷ることができた。…
※「ケーニヒ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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