ココ‐やし【ココ椰子】
〘名〙 (
ココはcoco)
ヤシ科の常緑大
高木。マレーシア原産と考えられ、
熱帯圏で広く栽培される。高さ二〇~三〇メートル、径約三〇センチメートル。幹には
落葉の跡が
環状に残り、先端に多数の葉を叢生して
四方に開く。葉は長さ四~五メートルの
羽状複葉で各小葉は
線形で長さ約六〇センチメートル。雌雄同株。
葉腋から長さ一~二メートルの花穂をのばし、
上部に多数の
雄花をつけ、下部に大形
球形の
雌花を一〇~二〇個つける。果実は扁卵形で三稜があり、長さ約三〇センチメートル、径約二五センチメートル。熟して灰褐色になる。中果皮は乾質で厚い繊維質からなる。内果皮(核)は堅く、黒褐色を帯び球形をした殻となり、胚と
胚乳を囲む。若い果実の胚乳は淡い甘味のある液汁で
飲料となる。熟して固化したものが
コプラの原料になる。中果皮は焚物や、
たわし、
刷毛、箒、
敷物、網、綱など、核は燃料や細工物、幹は建築材などにするほか、
花序の軸を切って糖液を集め、酒(ヤシ酒)や赤砂糖をつくる。やし。やしお。やぎ。
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デジタル大辞泉
「ココ椰子」の意味・読み・例文・類語
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ココヤシ【ココ椰子 coconut palm】
世界各地の熱帯の海浜や河口地域に栽培される代表的なヤシ科の高木(イラスト)。ココナッツともいう。栽培の歴史は古く,原産地や伝播(でんぱ)の歴史はつまびらかでない。インドへは3000年前にすでに渡来していたといわれる。中国の記録によると,290‐307年ころ中国南方やアンナンで栽培されていた。樹高30mに達し,通常は単幹で直立する。頂部に長さ5~7mの壮大な羽状葉を群生し,幹上には輪状の葉痕を残す。葉腋(ようえき)から花序を出し,分枝した花穂の基部に1~数個の雌花を,上部に多数の雄花をつける。
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世界大百科事典内のココ椰子の言及
【油】より
…特に後者はインド,東アジアに伝えられて重要な油料植物となる。 インドから東南アジア,太平洋諸島にかけてココヤシが重要である。ヤシ油はココヤシの胚乳部からつくられるが,むしろその一歩手前のココナッツ・ミルクのほうが食用には一般的である。…
【ヤシ(椰子)】より
…木本性の単子葉植物。日本では従来,ココヤシ(イラスト)を単にヤシと呼んでいたが,近年ではヤシ科の植物を総称してヤシ(イラスト)という。
【ヤシ科Palmae(palm family)】
木本性の単子葉植物として,イネ科のタケ類とともに特異的な存在であるヤシ科の植物は,ほとんどの場合,幹は分枝せず二次肥大生長もしないうえに,大きな葉を幹の頂端部に群がりつけ,熱帯の景観を特徴づける。…
※「ココ椰子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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