ドリーブ作曲の3幕のバレエ。《エナメルの眼の娘》の副題をもつ。E.T.A.ホフマンの《砂男》を主題にC.ニュイッテルとサン・レオンが台本化し,1870年5月パリ・オペラ座でサン・レオンの振付で初演された。原作のもつ怪奇性はないが,ガルシア地方のある町に住むスワニルダと青年フランツの恋物語に人形コッペリアをからませ,スワニルダが人形になりかわって踊り,それを見て喜び悲しむ人形師コッペリウスをコミカルに描いている。ペチパは84年にマリインスキー劇場で上演,その後ソ連では数多くの改訂・上演が行われた。イギリスのローヤル・バレエ団は1946年にイワノーフとチェケッティ版をもとに手を加えレパートリーとした。ニューヨーク・シティ・バレエ団にはバランチンの改訂(1974)がある。コッペリウスを主役にしたプティのバレエ(1975)は2幕で異色な現代版である。
執筆者:桜井 勤
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バレエ。3幕4場。ドリーブ作曲。台本は、E・T・A・ホフマン原作の『砂男(すなおとこ)』をもとにシャルル・ニュイッテルが脚色、のちにアルチュール・サン・レオンが一部改作。振付けサン・レオン。1870年5月パリのオペラ座で初演。年老いた玩具(がんぐ)職人コッペリウス博士が美しい少女の人形をつくっている。少年のフランツは向かいの家からのぞいてその人形を生きていると錯覚し、コッペリウスの家に侵入するが、博士にみつかって捕らえられてしまう。恋人のスワニルダが人形に扮装(ふんそう)してフランツを救う、といった筋になっている。原作『砂男』での、幻想的で少年が最後に自殺してしまう結末を避け、序幕と終幕に民族舞踊をちりばめて、楽しい作品になっている。ニューヨーク・シティ・バレエ団のものなど多くの改訂版があるが、ローラン・プチの改訂版は粋(いき)なコッペリウス博士を主役に据え、斬新(ざんしん)なものである。なお、原作の『砂男』はオッフェンバックによりオペラ『ホフマン物語』にも取り上げられている。
[市川 雅]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…ピアノ奏者,オルガン奏者を務めながらオペレッタ《炭2スー》(1855)以後,オペラを次々に発表。次いでバレエ曲も手がけ,《泉》(1866),《コッペリア》(1870),《シルビア》(1876)など,19世紀後半の重要なバレエ曲を残した。1881年母校作曲科教授。…
…しかし,舞踊の因襲的な技法が自由な音楽表現の束縛となり,一級の作曲家たちはバレエ音楽に創作意欲を示さなかった。パリにおけるドリーブの《コッペリア》(1870)と《シルビア》(1876),モスクワにおけるチャイコフスキーの《白鳥の湖》(1876),ペテルブルグにおける同じ作曲家の《眠れる森の美女》(1890)と《くるみ割り人形》(1892)の成功は,この通念を打開し20世紀のバレエ音楽への道を開いた。 1910年代から20年代にかけて,ディアギレフの主宰する〈バレエ・リュッス〉のために,現代音楽の新しいイズムをもったバレエ音楽が相次いで創造される。…
※「コッペリア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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