コリ(読み)こり(英語表記)Carl Ferdinand Cori

日本大百科全書(ニッポニカ)「コリ」の解説

コリ
こり
Carl Ferdinand Cori
(1896―1984)

アメリカの生化学者。チェコプラハに生まれる。同地のドイツ大学で医学を学び、ウィーンのグラーツ大学薬学部に就職したが、1922年アメリカに渡り、1928年に帰化した。バッファロー医学研究所を経てワシントン大学医学部生物化学の教授になり、のちに同部門の主任となる。動物の細胞や組織における炭水化物の代謝、とくに解糖について研究し、中間生成物としてグルコースリン酸を分離した。この物質コリエステルともよばれる。グリコーゲン肝臓でコリエステルを通してグルコースに分解され、血液によって各細胞に運ばれる。また筋肉でグルコースから生成した乳酸は肝臓に運ばれ、一部は酸化分解され、一部はグリコーゲンに転換して貯蔵されることを明らかにした。1947年に生化学者で共同研究者である夫人Gerty Theresa Cori(1896―1957)とともにノーベル医学生理学賞を受賞した。また、下垂体前葉ホルモンと糖代謝について研究したウーサイも同時に受賞した。

[宇佐美正一郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「コリ」の解説

コリ
Cori, Gerty Theresa Radnitz

[生]1896.8.15. チェコ,プラハ
[]1957.10.26. アメリカ,ミズーリ,セントルイス
アメリカの生化学者。プラハのドイツ大学に学び 1920年医学博士号を取得。同年 C.F.コリと結婚。 22年にアメリカに移住。 36年,セントルイスのワシントン大学で,夫とともに「コリのエステル」とも呼ばれるグルコース-1-リン酸を発見。この物質が,動物の肝臓内に多く貯蔵されるグリコーゲンがグルコースへ分解される場合の最初の反応中間体であり,同時に血液中のグルコースがグリコーゲンへ転換される反応にも介在することを解明した。さらに 42年,グリコーゲンが「コリのエステル」へと転換する際に触媒となる酵素単離,精製。グリコーゲンがグルコース,さらに乳酸に転換され,筋肉運動のエネルギー源となる反応である「コリのサイクル」を確立した。 47年,夫とともにノーベル生理学・医学賞を受賞。

コリ
Cori, Carl Ferdinand

[生]1896.12.5. プラハ
[没]1984.10.20. マサチューセッツ,ケンブリッジ
妻の Gerty Theresaとともにアメリカの生化学者。夫妻はプラハのドイツ大学の同級生で 1920年に学生結婚,同年医学部卒業。 22年にアメリカに移住し,28年に帰化した。 36年,生体内糖代謝の研究で「コリのエステル」と呼ばれるグルコース-1-リン酸を発見。6年後,このエステルをつくる反応を触媒する酵素を発見し,43年に試験管内でのグリコーゲンの合成に成功。肝臓のグリコーゲンが血中グルコースとなり,それが筋肉で再びグリコーゲンとなって,筋収縮のためのエネルギーを放出しながら乳酸となり,乳酸は肝臓でグリコーゲンに再合成されるという「コリのサイクル」を記載した。夫妻のこの一連業績に対して,47年ノーベル生理学・医学賞が授与された。

コリ
Cori

古代名コーラ Cora。イタリア中西部,ラツィオ州ラティナ県の町。ローマ南東 45kmに位置する。ラテン人の町で,ローマ初期のウォルスキ人やアウルンキ人との戦いのとき重要な役割を果した。前4世紀アッピア街道がつくられたため交通の要衝としての重要性を失って衰退。 15世紀,教会の保護のもとに繁栄したが,18世紀には再び微した。先史時代,ローマ時代の遺跡が残っている。現在ブドウ,オリーブの栽培が盛ん。人口1万 62 (1991推計) 。

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化学辞典 第2版「コリ」の解説

コリ
コリ
Cori, Gerty Theresa Radnitz

チェコ生まれのアメリカの生化学者.旧姓Radnitz.プラハのドイツ大学に学び,1920年医学博士号を取得.同年C.F. Coriと結婚し,ウィーンの病院に勤務した.1922年アメリカ・バッファローの州立悪性疾患研究所(現ロズウェルパークがん研究所)研究員.1931年夫とともにワシントン大学医学部に移り,助手を経て教授となる(1947年).1928年アメリカに帰化.業績のほとんどは夫との共同研究によるもので,炭水化物の代謝研究が有名である.1936年グリコーゲンから加リン酸分解によって中間体のグルコース1-リン酸(コリエステル)が生成されることを示し,それを触媒する酵素ホスホリラーゼ離した.また,のちにコリ回路とよばれる糖代謝のサイクルを明らかにした(1931年).これらの業績で,1947年夫妻ともにノーベル生理学・医学賞を受賞した.

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百科事典マイペディア「コリ」の解説

コリ

プラハ生れの米国の生化学者。プラハ,ウィーン等で薬理学を学ぶ。1922年,妻ゲルティ・テレザ〔1896-1957〕を伴い渡米,ワシントン大学教授となる。妻と共同で炭水化物代謝を研究し,グリコーゲンからグルコース-1-リン酸(コリエステル)を生ずるホスホリラーゼを結晶化し,それを用いてグリコーゲンの合成に成功した。1947年夫妻ともノーベル生理医学賞。

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世界大百科事典 第2版「コリ」の解説

コリ【Carl Ferdinand Cori】

1896‐1984
チェコスロバキア生れのアメリカの生化学者。動物学者を父としてプラハに生まれ,1914年同地のドイツ大学医学科に入学,そこでジャーティ・テレサGerty Teresa Cori(1896‐1957)と知り合い,卒業後結婚した。カールウィーン大学などで薬理学を研究,ジャーティは小児科病院に勤務していたが,22年夫妻は渡米し,28年に帰化。ニューヨーク州立腫瘍研究所を経て,31年ワシントン大学に移り,カールは薬物学教授のちに生化学教授,ジャーティも47年に生化学教授となった。

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世界大百科事典内のコリの言及

【グリコーゲン】より

…このような生理的重要性のため,グリコーゲンの合成と分解の機構およびその制御については活発な研究が展開されてきた。コーリC.F.Coriらはグリコーゲンの分解酵素であるホスホリラーゼを発見したが,この酵素は加リン酸分解を行うもので,その産物はグルコース‐1‐リン酸である。ホスホリラーゼの逆反応によってグルコース‐1‐リン酸からグリコーゲンを合成することもできる。…

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