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コンピュータ・アート コンピュータ・アートcomputer art

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

コンピュータ・アート
computer art

コンピュータを利用して創造する芸術。創作家の表現に新しい可能性を開いた新芸術分野といわれ,多くはコンピュータ技術のもっている本質的な特質を芸術の領域に取入れて芸術的表現が行われている。特に音楽 (作曲と演奏) と絵画 (グラフィック・アート) で顕著な活動がみられる。コンピュータ・ミュージックは 1957年にアメリカのイリノイ大学が『イリアック組曲』を発表して以来,各国で行われるようになり,一方では前衛音楽とも結びつきを深めている。また絵画は 68年頃から活発に行われ,XYプロッタやグラフィック・ディスプレイ装置,またはプリンタを使用した作品が作られている。有名な展示活動には,ロンドンの現代芸術研究所が 69年に開催した"Cybernetic Serendipity",同年のドイツの「コンピュータ・アート展」などがある。またコンピュータ・グラフィックス (CG) は急速に発展・普及している。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

コンピュータ・アート
こんぴゅーたあーと
computer art

コンピュータを、音響・画像作成、映像表示、作品制御などに利用する芸術で、テクノロジカル・アートの一種。
 1946年にコンピュータが開発されるとまもなく、穿孔(せんこう)テープやデータカードに興味をもった芸術家たちが、これをコラージュに用いたりした。その後、ラインプリンター(印字装置)の打ち出す文字の濃淡を利用した画像作成が試みられたりした。1950年代になると、乱数や順列・組合せによる作文、作詩が試みられ、また数値を音符に置き換える作曲からコンピュータ・ミュージックの分野が開かれた。これはミュージック・シンセサイザー(音響合成装置)による作曲・演奏へと発展した。
 1952年にラポスキーBen F. Laposky(1930―2000)がコンピュータで描いた数学的形態をオシロスコープに映し出した『オシロン』が、コンピュータ・アートの始まりとされる。1960年代初頭にはアメリカのホイットニー兄弟John Whitney(1917―95)、James Whitney(1921―81)がコンピュータで生成した画像をフィルムに焼きつけたアニメーションで先駆けをなした。これらをまとめて、1968年にロンドンの現代芸術研究所において、初めてのコンピュータ・アート展「Cybernetic Serendipity-the computer and the arts」が催された。ここでは、コンピュータを用いた(1)グラフィクス、フィルム、(2)作曲、ミュージック、ダンス、(3)サイバネティックス、キネティック、ロボット、(4)詩、俳句、などがとりあげられ、日本からは、前年に幸村真佐男(1943― )らが結成したコンピュータ・テクニック・グループ(CTG)が線描出力の特性を生かした作品で好評を博した。このころ、月尾嘉男(よしお)(1942― )らが日本初のコンピュータ・アニメーション『風雅の技法』を完成させており、1973年には三井秀樹(1942― )らが「国際コンピュータ・アート」展(東京・銀座ソニービル)を催し、国内でも一気に盛り上がった。
 1974年にアメリカ・コンピュータ学会(ACM)のコンピュータ・グラフィクス(CG)に関する専門部会シーグラフSIGGRAPH(Special Interest Group on Computer Graphics)が発足、82年からアート・ショーが催され、以後この分野の作品発表の場となっている。この場で、光跡を自動生成することによって陰影を伴うリアルな立体像を描き出すレイトレーシングray tracingやフラクタル技術の導入によってリアリスティックな画像生成技術が進むごとに目新しいCGが発表されはしたが、多くは技術に追随するのみであって、かならずしも芸術的に高い作品が生まれたとはいいがたい。パソコンが急速に普及し、画像ソフトが出回るにつれてデザインへの応用は一般化したが、一方、改めてアートとしての独自性が問われつつある。なお、和製略語であるCGは、映像を含むことばとしてはふさわしくないとして、かわってCGI(Computer Generated Image)が用いられるようになってきている。
 日本では、コンピュータ・グラフィクスの草分けであった出原(いずはら)栄一(1929― )に学んだ河口洋一郎(1952― )は、南国的な極彩色と有機的な人工生命形態を自動増殖させる映像を継続的に発表し、国際的な評価を得ている。
 また、CGに飽きたらない若いアーティストたちは、コンピュータの高速化によって可能となった即時対応性や三次元のバーチャルリアリティ技術を用いたインタラクティブ・アート(作品と観者との間に一定の相互作用をもたらすことが意図された作品)ヘ進出しつつあり、さらにより広くメディア・アートとしてその領域を拡張しようとしている。CGから出発した藤幡正樹(ふじはたまさき)はその一人である。[三田村右]
『デヴィド・イエム他著、半田直・頴川栄治訳『インディペンデント・C・G(コンピュータ・グラフィック)アート』(1986・美術出版社) ▽稲蔭正彦・内山博子著『コンピュータ・グラフィックス・アート』(1988・パーソナルメディア) ▽長田道昭著『現代CG入門――幻想的CGアートから工業デザインまで』(1991・電気書院) ▽Art Box international編『Art box in Japan 1』(1994・六耀社) ▽Art Box international編『Art box in Japan 2』(1995・六耀社) ▽渕上季代絵著『コンピュータアート』(1996・オーム社) ▽藤幡正樹著『アートとコンピュータ――新しい美術の射程』(1999・慶応義塾大学出版会) ▽カーチス・ローズ著、平田圭二他訳『コンピュータ音楽 歴史・テクノロジー・アート』(2001・東京電機大学出版会)』

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