コンベヤー(読み)こんべやー(その他表記)conveyor

翻訳|conveyor

デジタル大辞泉 「コンベヤー」の意味・読み・例文・類語

コンベヤー(conveyor)

《「コンベヤ」「コンベアー」とも》物を連続的に一定距離だけ運搬する自動装置ベルトコンベヤー・チェーンコンベヤーなどがある。搬送帯

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンベヤー」の意味・わかりやすい解説

コンベヤー
こんべやー
conveyor
conveyer

材料、半製品、貨物などを自動的に連続運搬する機械装置。生産工場内で部品の運搬、半製品の移動、鉱山港湾などで石炭鉱石・貨物の運搬、建設工事に伴う土砂・石などの運搬に広く使用されている。また、ベルト状の長いコンベヤーを一定速度で動かし、その上にのせてある半製品に所定の加工を行ったり、組立て作業を行ったり、生産能率の向上にも威力を発揮している。20世紀に入ってからの大量生産には欠くことのできない装置となった。20世紀なかば過ぎには、コンベヤーに特殊な装置を組み込み、半製品の取り付けができるようにし、自動加工機械と組み合わせたトランスファーマシンtransfer machineがつくられ、生産能率はさらに向上することとなった。また運搬途中に部品の選別を行う装置を取り付けたり、部品の向きをそろえたりすることのできるコンベヤーもある。

[中山秀太郎]

種類

コンベヤーの種類はきわめて多く、用途に応じてさまざまのものがつくられている。

(1)ベルトコンベヤーbelt conveyor 大量生産を行う工場などでもっとも普通に使われており、ゴム、織物金網鋼板などでつくられたベルトが用いられる。これを一定速度で動かし、上に品物をのせて運搬したり、また加工や組立てを行ったりする。ゴムのベルトが多く使われている。このベルトは環状でベルト車に掛け、ベルト車を電動機で回転し駆動する。途中のベルトのたるみを支えるためにアイドラーが使われる。運搬するものが箱に入っているようなときは、アイドラーの形は平らなものが使われる。石炭とか穀物のようなばらものを運搬するときには、ベルトの中央をややへこますために、溝形のアイドラーを使用する。

 ベルトコンベヤーを複数基連結させることにより、長いものでは,数十キロメートルに達するものも存在している。

(2)ねじコンベヤー スクリューコンベヤーscrew conveyorともいう。円筒形あるいは半円形断面をした長い筒状の中にねじを入れ、このねじを回転させ、品物をねじ山の間に沿って移動させるようにできている。穀物、砂糖、セメント、おがくずなどのような粉状のもの、あるいは粒状のものを運搬するのに利用されている。コールタール、アスファルトなどのような半流動体のものを輸送するのにも使われる。ねじ山の形は、輸送する物体の種類により適当なものが選ばれる。

(3)バケットコンベヤーbucket conveyor 上下2個の車に鎖またはベルトを掛け、このベルトに多数のバケットを取り付けたもの。ベルトを動かし、バケットで品物をすくい上げ、低い所から高い所へ運ぶのに使われる。石炭、砂利、砂、穀物の運搬に使われている。

(4)空気コンベヤーpneumatic conveyor 細長い管の中に高速度で空気を流し、それに粉体を浮かせて運搬するもの。管の一端を真空ポンプに連結し、他端を粉体の中に入れると、粉体は吸込み口から管の中に吸い込まれ、管の中を空気の流れに沿って移動する。管の途中にやや広い部分があり、ここで空気の流速が遅くなり、粉体を下方に落とすようになっている。粒子の細かい微粉炭、セメント、小麦粉などの運搬に使われる。電気掃除機についている細長い管は、塵埃(じんあい)を吸い取って運搬する空気コンベヤーの一種である。

(5)チェーンコンベヤーchain conveyor 移動する鎖の上に品物を直接のせたり、または鎖に取り付けた容器に品物を入れて運搬する装置。

(6)ローラーコンベヤーroller conveyor ローラーを多数並べ、それぞれのローラーは自由に回転できるようにし、この上に品物をのせ、転がしながら運搬するもの。転がすのには手で押したり、またはわずかに傾斜をつけ品物の自重で転がるようにする。工場などで、製品などを比較的短い距離移動させるのによく使われる。

(7)トロリーコンベヤーtrolley conveyor 天井にレールを設け、これに沿って移動するトロリーに品物をつり下げて運搬する。自動車工場、電気製品など大量生産を行っている工場で、部品の運搬に広く使用されている。

(8)振動コンベヤーshaking conveyor 樋(とい)あるいは板状のものを上下・左右に振動させ、この上に品物をのせると少しずつ品物は移動する。振動のさせ方で移動方向、移動速度を加減することができる。炭坑内での石炭の運搬などに利用されている。また粒子の大きさによって移動速度が異なるのを利用して鉱石などの選別に使用されている。

(9)流体コンベヤーfluid conveyor 管あるいは樋状のものの中に水を流し、水の流れによって運搬する。粉体などの選別に利用されている。

[中山秀太郎]


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