改訂新版 世界大百科事典 「ゴゼンタチバナ」の意味・わかりやすい解説
ゴゼンタチバナ
bunchberry
crackerberry
Cornus canadensis L.
高山帯から亜高山帯に生え,白色で花弁状をした4枚の総苞片をもつミズキ科の常緑草本。高さ10cm前後,茎は直立し地下茎を長く引く。葉は倒卵形全縁で茎の先に2枚が対生し,さらにその腋(えき)におのおの1対の葉をつける。往々後者は前者2枚より小型であり,6枚が輪生状を示す。花序は1.5~3cmの花柄に頂生し,15~25個の小花がほぼ集散状につき,白色の総苞片が目立つ。小花の萼筒は4浅裂,花弁4枚,おしべ4本で子房下位。果実は球形で赤熟する。本州中部以北,北海道,サハリン,千島,カムチャツカ,北アメリカに分布する。近縁種エゾゴゼンタチバナとともにミズキ科の中でただ2種が草本性植物で,共に染色体数n=22。木本性の祖先から進化したと考えられる寒地植物。
執筆者:八田 洋章
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報