サルパ(英語表記)salpa

翻訳|salpa

デジタル大辞泉 「サルパ」の意味・読み・例文・類語

サルパ(Salpa)

尾索綱サルパ目の原索動物総称。体はたる状や円柱状で透明。世代交代を行い、数個連なって鎖状をなす有性個体から単独で浮遊する無性個体を生じる。暖海性のプランクトンで、回遊魚の天然飼料となる。

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精選版 日本国語大辞典 「サルパ」の意味・読み・例文・類語

サルパ

  1. 〘 名詞 〙 ( [ラテン語] salpa ) 原索動物尾索類サルパ目に属する原索動物の総称。体は樽状や円柱状で透明な寒天質からなり、胃・腸・心臓・肛門(こうもん)・神経節・鰓(えら)などを備える。世代の交代を行ない、有性個体から胎生によって無性個体が生じ、単独で浮遊する。有性の個体は数個連なって鎖状をなす。体長が二~五センチメートルのものが多いが約二〇センチメートルにもなるオオサルパ、約一センチメートルのヒメサルパなどがある。世界の海洋で浮遊生活をするが暖流域に多い。

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改訂新版 世界大百科事典 「サルパ」の意味・わかりやすい解説

サルパ
salpa

尾索綱サルパ目断筋亜目Desmomyariaに属する原索動物の総称。暖海性のプランクトンで,水面のごく表層に浮遊しているが,ときに海岸に大量に漂着することもある。世代によって形態が異なり,無性世代では単独個体,有性世代では連鎖個体になって世代交代をする。単独個体は円筒状で,体長は2~5cmのものが多いが,なかにはオオサルパThetys vaginaのように12~30cmになるものもある。前端に入水孔,後端か後背面に出水孔が開いている。体の周囲には体筋が取り巻いているが,種類によって数が異なり,またさまざまに断絶している。この体筋を収縮して水中を遊泳する。体内には広い咽頭と排出腔があり,両方の境界に棒状えらと呼ばれる部分がある。また食物を集める内柱や心臓などもある。心臓の付近にある芽茎(がけい)の分節によって有性個体を鎖状に生じ,これらは端部から切れて遊離する。有性個体は雌雄同体で,卵巣精巣を生ずる。代表的な種類にワサルパトガリサルパツツサルパ,オオサルパ,ウミタルなどがあり,魚類の重要な天然飼料になっている。
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百科事典マイペディア 「サルパ」の意味・わかりやすい解説

サルパ

原索動物尾索綱サルパ目断筋亜目の総称。ふつう体長2〜5cmで筒状,寒天質の被嚢でおおわれ,透明。前端に入水孔,後端か後背面に出水孔が開く。7〜20本の筋肉が体壁をとりまくが,腹側で切れているのが特徴。トガリサルパ,ウミタル,オオサルパなどがある。暖海性のプランクトンで,大型回遊魚の天然飼料の一部になっている。
→関連項目原索動物

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