サルマート（その他表記）Sarmat［ロシア］
Sarmatai［ギリシア］

改訂新版　世界大百科事典

サルマート
Sarmat［ロシア］
Sarmatai［ギリシア］

南ロシア草原地帯に居住したイラン系騎馬遊牧民族。ヘロドトスがサウロマタイ人Sauromataiと呼び，のちにサルマート人，アランAlān（阿蘭）人として知られるものはみな同系統の民族であるといわれる。はじめドン川を境にスキタイ人の東方，ボルガ川下流域，ウラル南部草原に住み，スキタイ文化の影響を強く受け，またスキタイ系文化を東方に伝えるうえで大きな役割を果たした。前3世紀中ごろ，スキタイ人の弱体化に乗じ，ドン川を渡ってスキタイ領土に入り，スキタイ人をクリミア地方におしこめた。さらに西進をつづけローマ帝国の国境に到達し，またゴート族やゲルマン族とも接して重装騎兵の戦術を伝えた。後1世紀ころ，サルマート人の東方勢力のなかからアラン族が強大な国家を形成し，ローマ帝国領に進出し，しばしば脅威を与え，帝国の滅亡を早めた。4世紀にいたり，西進するフン族によって滅亡させられた。
→サルマート文化
執筆者：小谷 仲男

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

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サルマート
Sarmatians

前4世紀以降，南ロシアを中心に勢力をふるったイラン系遊牧騎馬民族。一時はスキタイを征服し，黒海北岸の全域を掌握したこともあった (前1～後1世紀) 。その後ローマ属州の下モエシア (ブルガリア) に侵入し，ローマ帝国北東辺境の重大な脅威となった。3世紀に東方から移動してきたフン民族に押され，南ロシアの故地を離れ，ゲルマン諸族の一派たるゴート人と連合し，西ヨーロッパになだれ込んで，いわゆる民族大移動を引起し，ローマの力を著しく弱めたが，6世紀には完全に歴史から姿を消した。

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サルマート

前６―前４世紀ごろ，ドニエプル川からアラル海にわたる草原地帯を支配し，１世紀ごろまでに，スキタイに代わって黒海北岸地方でも活躍した遊牧騎馬民族。ヘロドトスによれば，女性も男子と同じく馬に乗り，狩猟・出陣したという。→サルマート文化／スキタイ文化

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山川 世界史小辞典 改訂新版

サルマート

⇒サルマタイ

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