シクロブタン(読み)しくろぶたん(その他表記)cyclobutane

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シクロブタン」の意味・わかりやすい解説

シクロブタン
しくろぶたん
cyclobutane

シクロアルカンの一つ。テトラメチレンともいう。無色の可燃性気体。合成法は100℃、ニッケル触媒の存在下のシクロブテンの水素化による。または1,3-ジブロモプロパンとマロン酸エステルのナトリウム塩の縮合反応で得られるシクロブタンカルボン酸の脱炭酸による。四つの環の炭素は平面上になく、折れ曲がった立体配座をとる。室温で各炭素原子は静止しておらず、相互に配座をかえている。白金触媒下、強い条件で水素化するとn-ブタンを生ずる。

[向井利夫]



シクロブタン(データノート)
しくろぶたんでーたのーと

シクロブタン

 分子式 C4H8
 分子量 56.1
 融点  <-80℃
 沸点  12℃
 比重  0.703(測定温度0℃)
 屈折率 (n)1.3752

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「シクロブタン」の意味・わかりやすい解説

シクロブタン
cyclobutane


4員環の炭化水素。常温で無色の気体。融点-80℃以下,沸点12℃。4個の炭素原子は同一平面上にはなく,図のように折れ曲がった構造をしている。折れ曲りの角度は約25度である。1,3-ジブロモプロパンとマロン酸ジエチルとをナトリウムエトキシドの存在下に反応させ,加水分解,脱炭酸を経てシクロブタンカルボン酸とし,これを脱炭酸して得る。

シクロブタン環はひずみをもつが,シクロプロパンとちがって環開裂反応はしにくい。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

化学辞典 第2版 「シクロブタン」の解説

シクロブタン
シクロブタン
cyclobutane

C4H8(56.11).臭化シクロブチルマグネシウムとブチルアルコールとの反応で得られる.シクロブタンカルボン酸の熱分解でも生成する.無色の気体.融点-80 ℃,沸点12 ℃.0.7038.ニッケル触媒の存在下,200 ℃ で還元するとブタンになる.4個の炭素原子は同一平面上になく,折れまがった構造をとる.[CAS 287-23-0]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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