シャクナゲ(読み)しゃくなげ

日本大百科全書(ニッポニカ)「シャクナゲ」の解説

シャクナゲ
しゃくなげ / 石南花
石楠花
[学] Rhododendron

ツツジ科(APG分類:ツツジ科)ツツジ属のうちシャクナゲ亜属の総称であるが、ホンシャクナゲアズマシャクナゲを単にシャクナゲということもある。常緑低木または小高木。葉は全縁で互生し、革質で光沢がある。花は漏斗(ろうと)状の合弁花で、枝先に総状花序につくが、花序が球状に、その下に葉が輪状についてみえるのが特徴である。シャクナゲ類はヨーロッパ、アジア、北アメリカに分布するが、ヒマラヤ東部、ネパールから中国の雲南省、四川(しせん)省に種類が多い。日本には高山帯から亜高山帯に分布するキバナシャクナゲハクサンシャクナゲ、それより低い山地に分布するツクシシャクナゲホソバシャクナゲや、その変種、品種がある。

 キバナシャクナゲR. aureum Georgiは淡黄色花を開き、中部地方、北海道の高山に生える。ハクサンシャクナゲR. brachycarpum G.Donは白から淡紅色の花を開き、北海道、中部地方以北の本州、および四国の石鎚(いしづち)山などの亜高山帯に生える。葉裏が無毛の変種ケナシハクサンシャクナゲがあり、八重咲きの品種をネモトシャクナゲという。ツクシシャクナゲR. japonoheptamerum Kitam. var. japonoheptamerumR. metternichii Sieb. et Zucc.)は花冠の先が7裂した淡紅色花を開き、紀伊半島、四国、九州の山地に生える。変種のホンシャクナゲは葉裏の淡褐色の毛が少なく、褐色の毛を厚く密生するツクシシャクナゲと区別する。長野県、愛知県以西の本州、四国の山地に生える。葉が短くてやや薄い変種をオキシャクナゲという。キョウマルシャクナゲは葉裏の毛がさらに少なく、花冠は5、6裂する。伊豆、静岡県西部、長野県南部の山地に生える。アズマシャクナゲは葉裏に淡褐色の毛を密生して花冠は5裂し、山形県、宮城県以西から関東地方、中部地方南部に生える。屋久島(やくしま)に生えるヤクシマシャクナゲも花冠は5裂する。エンシュウシャクナゲR. makinoi Taggはホソバシャクナゲともいい、葉は線状倒披針(とうひしん)形で細く、愛知県東部、静岡県西部の山地に生える。

 セイヨウシャクナゲは世界各地のシャクナゲを交配してつくられた園芸品種の総称で、ロードデンドロンともいい、1000種以上の品種がある。シャクナゲ類は花木として観賞され、材は小細工物に用いられる。繁殖は実生(みしょう)、株分け、取木による。成長は遅く、野生種は栽培がややむずかしい。

[小林義雄 2021年4月16日]

文化史

シャクナゲの名は石南花あるいは石楠花から由来したが、漢名の石楠はバラ科のオオカナメモチPhotinia serrulata Lindl.をさし、現代の中国では杜鵑を用いている。石南草の名は『新撰字鏡(しんせんじきょう)』(901ころ)に、石楠草は『倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』(931~938ころ)に載っている。いずれも和名としては止比良乃木(とびらのき)をあげているので、それはトベラ(トベラ科)と考えられる。シャクナゲの名は室町時代から使われたようで、『下学集(かがくしゅう)』(1444)に記載がある。かつて、石鎚山(愛媛県)のハクサンシャクナゲを行者が手折って持ち帰り、畦(あぜ)に挿して豊作を祈る習俗があった。

[湯浅浩史 2021年4月16日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア「シャクナゲ」の解説

シャクナゲ

ツツジ科の低木数種をいう。ツツジ類と同属であるが,葉は常緑,厚い革質で光沢がある。花は枝の端に頂生した花芽から十数個散形状に開く。アズマシャクナゲ(シャクナゲとも)は,本州中部〜北部の深山にはえ,高さ2〜3m。花冠は白〜淡紅色で漏斗(ろうと)形,先は5裂し,おしべは10本。ホンシャクナゲ(ツクシシャクナゲ,シャクナゲとも)は本州中部,四国,九州に分布し,高さ約4m,花冠は7裂し,おしべは14本ある。本州,北海道の亜高山帯にはえるハクサンシャクナゲは,アズマシャクナゲに似ているが,花がやや小さく,葉はやや薄くてまるみを帯びる。またキバナシャクナゲは本州,北海道の高山にはえ,アジア北東部にも分布。高さ20〜50cm,枝ははい,淡黄色の花をつける。シャクナゲの類は500種以上が知られ,中国西部〜インド北部の山岳地帯に多い。それらが18世紀ごろヨーロッパに入り,多くの園芸品種が作られた。日本でも20品種余りが作られており,西洋シャクナゲ(いわゆるロドデンドロン)と総称される。
→関連項目ツツジ

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