シュアレス(英語表記)Suarès, André

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

シュアレス
Suarès, André

[生]1868.6.12. マルセイユ
[没]1948.9.7. サンモールデフォセ
フランスの批評家,随筆家。厭世的理想主義者として安易な生活を拒み,友人 R.ロラン同様,苦悩を通してのみ達することができる芸術の偉大さ,美しさを人生の究極の目的と考えた。モラリスト的なエッセー集『生について』 Sur la vie (3巻,1909~13) ,作家論『三人-パスカルイプセンドストエフスキー』 Trois Hommes: Pascal,Ibsen,Dostoïevski (13) ,紀行『エメラルドの書』 Le Livre de l'Émeraude (02) ,『傭兵隊長の旅』 Le Voyage du condottiere (3巻,10~32) のほか,ワーグナーなどに関するすぐれた音楽評論がある。

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百科事典マイペディアの解説

シュアレス

フランスの批評家,詩人。ペギーらと交わり《半月手帖》に執筆,次いで《NRF》誌の創刊寄与健筆を振るう。パスカル,イプセン,ドストエフスキーを論じた《三人》のほか,シェークスピアゲーテに関する評論,エッセー《生命のままに》,評論《音楽と詩》などに深い洞察力を示し,また紀行文名文

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世界大百科事典 第2版の解説

シュアレス【André Suarès】

1868‐1948
フランスの文芸批評家。本名イザーク・フェリックスIsaac Félix。詩人的直観力を文芸批評の領域に発揮して,繊細な感性と鋭敏な知性を彫琢された文体のなかに融合しつつ,芸術的香気に満ちた数々の批評作品を創造した。その著作では神秘的な禁欲主義と知的な審美主義が表裏一体となって,超俗文学世界を形成している。偉大な精神の形姿の探究を文業のすべての目的とした彼は,文学,美術,音楽等の諸分野に,動揺し高揚する精神がついには平安を見いだす究極の一点を探し求めて倦むことがなかった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

シュアレス
しゅあれす
Andr Suars
(1868―1948)

フランスの批評家。本名はイザック・フェリックス・シュアレス。マルセイユ生まれのユダヤ人で、高等師範学校(エコール・ノルマル・シュペリュール)卒業後、教授資格取得に失敗し、文筆活動に専念する。ロラン、ペギー、クローデル、ジッドらと親交を結ぶが(彼らとの往復書簡集は有名)、文壇的には終始孤立を続ける。イブ・スカントレル、カエルダル、セイプセなどの筆名を用いる。詩、劇、旅行記、エッセイを手がけるが、つねに深い批評的省察を伴う。イタリア美術行脚(あんぎゃ)ともいうべき『傭兵隊長(コンドチエーレ)の旅』Voyage du Condottiere(1910~32)、エッセイ『私の兄の死について』(1904)以来、人間の苦悩、悲惨、死を芸術創造にまで高める「偉大性」のテーマをみいだし、同時に、対象の核心を直観的にとらえ魂のことばに置き換える独自の批評的方法を確立した。時評集『生について』3巻(1909~12)、パスカル、イプセン、ドストエフスキーの批評的肖像を描く『三人』(1913)を代表作として、著作総数はおよそ80。なかでも『ヨーロッパ展望』(1939)は、ヒトラーに偉大さの悪(あ)しき典型をみてとる、罵詈雑言(ばりぞうごん)批評の傑作とされる。[松崎芳隆]

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