日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
シュテルン(William Stern)
しゅてるん
William Stern
(1871―1938)
ドイツの心理学者。ベルリンの生まれ。ベルリン大学に学ぶ。ハンブルク大学教授となるが、ユダヤ人であったためナチスに追われ渡米、デューク大学教授となる。初め知能や思考の発達的研究を行ったが、後半は人間学と科学を調和させる独自の人格主義心理学を創唱。人は多くの部分からなるが、目的と価値を本質的成分とする調和のとれた全体として初めて理解しうる、一方、物は統一のない部分の集積であるとする。世界は人との関連によって意味や時間・空間関係をもつので、子供の発達段階に応じてそれぞれ独特の環境世界をもつことを説いた。IQ(知能指数)概念を初めて提唱したことでも知られている。
[藤永 保]
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