シュロソウ(読み)しゅろそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュロソウ」の意味・わかりやすい解説

シュロソウ
しゅろそう / 棕櫚草
[学] Veratrum maackii Regel var. maackioides (O.Loes) H.Hara
Veratrum nigrum L. ssp. Maackii (Regel) Kitam.

ユリ科(APG分類:シュロソウ科)の多年草。ホソバシュロソウ、ナガバシュロソウともいう。太く短い地下茎は地中を横走し、じょうぶな多数の根を地中深く伸ばす。茎は高さ0.5~1メートル、下部には枯れた葉柄がシュロにある毛のようになって残り、名はこれに由来する。葉は長楕円(ちょうだえん)状披針(ひしん)形から線状披針形。7~8月、大形の円錐(えんすい)花序に多数の花を開く。花柄は1.0~1.7センチメートルで、花被片(かひへん)は暗紫色。変種アオヤギソウは花被片が緑色である点で、また変種オオシュロソウは花柄の長さが4~7ミリメートルと小さいので区別される。関東地方以西の太平洋側から四国、九州の林内に生え、朝鮮半島、中国、ウスリーに分布する。

河野昭一 2018年11月19日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シュロソウ」の意味・わかりやすい解説

シュロソウ(棕櫚草)
シュロソウ
Veratrum nigrum

ユリ科の多年草で,バイケイソウ属の1種。北半球温帯の林内や草地から高山草原にまで広く分布する。広楕円形で短い柄のある 20~30cmの葉を根もとから出す。葉の基部は鞘となり,冬は地上部が枯れるが,この葉鞘の脈がシュロ糸のようになって何年も残るので,この名がある。夏に,50cmあまりの花序を総状に出し,多数の6弁の小花を開く。花被片は紫褐色である。花 (花被片) が緑色のものをアオヤギソウ V. nigrum var. parviflorumといって区別することがある。花色の違いのほかに分布域もアオヤギソウは低山の湿った草地に,シュロソウは高山草地にと分れる傾向がある。

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百科事典マイペディア 「シュロソウ」の意味・わかりやすい解説

シュロソウ

本州北海道山中の林内や草原などにはえるユリ科の多年草。茎は高さ50〜100cm,下半部に狭披針形で長さ20〜35cmの葉を少数つける。夏〜秋,茎頂花穂を円錐状につけ,径1cm内外で濃紫褐色花を多数開く。花被片は6枚。有毒植物で,バイケイソウ同様殺虫剤に利用した。茎の基部にシュロ状の毛があるのでこの名がある。

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世界大百科事典(旧版)内のシュロソウの言及

【バイケイソウ】より

…葯は楕円円盤状のたいへん特殊な形をしている。これはシュロソウ属の特徴である。子房は3室で縮れた毛がある。…

※「シュロソウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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