型紙を利用する印刷法。印刷しようとする模様を切り抜いて型紙(ステンシル)を作り,枠に張った絹布に固定し,裏側からインキを押し出して紙その他の物質に印刷する。現在では絹布に限らず合成繊維,あるいは金属線を使うことも多いので単にスクリーン印刷screen printing,プロセス印刷process printingともいう。インキを押し出すにはスクイージーというゴム製のへら状のものを使用するので,自動化された印刷機でも印刷速度はあまり速くないが,平面,曲面をとわず,また紙以外の物質,例えばプラスチック,布地,不織布,金属,ガラスなどにもきれいに印刷できる。
製版法,つまり型の作り方には手工的方法と写真製版法とがある。前者には美濃原紙や特殊フィルムを切り抜くカッチング法と,スクリーン面に挿画するブロックアウト法(挿画法),後者にはスクリーンに直接感光液を塗布してポジチブから焼きつける方法と,カーボンチッシュ(ピグメントペーパー)に画像を作っておきスクリーンに転写する方法とがある。シルクスクリーン印刷は厚いインキ膜を作るから,乾燥装置,乾燥方法が一般印刷に比べ大仕掛けになるが,印刷物は強い表現をあたえる。したがって紙への印刷では小さい字を使わないポスター,それも少量部数のものに最適である。紙以外の物質への印刷ではガラスのコップ,プラスチックの容器,コンデンサーや抵抗,回路などの電気部品への印刷に利用されている。
執筆者:山本 隆太郎
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… 孔版は,型染の原理と同じく,ステンシル(型紙)を枠に張りインキを押し出して型通りの模様を紙に移す方法である。謄写版とシルクスクリーン印刷がこれに属する。謄写版はアメリカのT.エジソンが19世紀末に発明したが,日本の堀井新治郎が蠟引き紙に鉄筆で穴あけする方法を発明して以来,事務印刷として重宝がられた。…
※「シルクスクリーン印刷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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