ジャノメチョウ(読み)じゃのめちょう

日本大百科全書(ニッポニカ)「ジャノメチョウ」の解説

ジャノメチョウ
じゃのめちょう / 蛇目蝶

昆虫綱鱗翅(りんし)目ジャノメチョウ科Satyridaeの総称、または同科に属するナミジャノメの別名。ヒカゲチョウという呼び方もジャノメチョウ科の総称として用いられることがあり、これはまた同科のナミヒカゲの別名である。ジャノメチョウという名は、この科のチョウの多くが蛇の目状の眼状紋をはねにもっていることから、同じくヒカゲチョウは、この仲間のものが日陰を好む習性からきている(ただしこの習性は森林性のものに限り、草原性のものではむしろ陽光を好む)。

 ジャノメチョウ科のチョウは一般に中形で、はねの色彩は褐色ないし黒褐色でじみなものが多い。年1化あるいは多化性で、多化性のものでも寒冷地では年1化にとどまる場合もある。高山の厳しい環境に生活するタカネヒカゲでは2年に1化、その生活史に足掛け3年を要する。越冬態は主として幼虫で、蛹(さなぎ)や成虫で越冬する少数の種がある。幼虫の食草はイネ科(タケ類を含む)、カヤツリグサ科などの単子葉植物、例外的にシダ類を食する少数の種が東南アジアの熱帯地域および南アメリカで知られている。

[白水 隆]

分類

日本産のものは、次の3亜科に分けられる。

(1)コノマチョウ亜科Biinae 熱帯から亜熱帯性のもので、日本産ではコノマチョウ属Melanitisの2種が含まれる。

(2)ヒカゲチョウ亜科Elymninae 熱帯から亜寒帯まで分布は広い。日本産のものではヒカゲチョウ属Lethe、キマダラヒカゲ属Neope、キマダラモドキ属Kirinia、オオヒカゲ属Ninguta、ウラジャノメ属Lopinga、コジャノメ属Mycalesisなどが含まれる。主として森林性である。

(3)ジャノメチョウ亜科Satyrinae 暖帯から寒帯に分布。日本産のものではジャノメチョウ属Minois、タカネヒカゲ属Oeneis、ベニヒカゲ属Erebia、ヒメヒカゲ属Coenonympha、ウラナミジャノメ属Ypthimaなどが含まれる。主として草原性である。

[白水 隆]


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百科事典マイペディア「ジャノメチョウ」の解説

ジャノメチョウ

(りんし)目ジャノメチョウ科の1種。タテハチョウ科の1亜科とする場合もある。黒褐色,灰色を帯びる。前翅の表に2個,後翅に1個の蛇の目(じゃのめ)がある。開張雄4cm,雌7cm内外。日本全土,朝鮮,中国,シベリアからヨーロッパに分布幼虫ススキなどを食べ,若齢幼虫で越冬,浅い土中で蛹化(ようか)し,成虫は夏に現れる。乾燥した草地を好む。ジャノメチョウ科(亜科)は日本に30種ほどがいる。一般に暗色の種類ばかりで,幼虫はイネ科,カヤツリグサ科,ヤシ科など植物の葉を食べる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「ジャノメチョウ」の解説

ジャノメチョウ
Minois dryas

鱗翅目ジャノメチョウ科。前翅長 32~40mm。翅は丸みがあり,外縁に波状に凹凸がある。翅表は黒褐色で,前翅に2個,後翅に1個の黒色眼状紋があり,中心は青紫色となっている。裏面は淡色で波状帯があり,後翅基半部は黄褐色である。成虫は夏季に出現し,草地に多くみられ,花に集る。幼虫の食草はススキなどイネ科植物。朝鮮,シベリアからヨーロッパにかけて広く分布する。日本産は亜種 M. d. bipunctatusといい,北海道,本州,四国,九州にきわめて普通にみられる。なおジャノメチョウ科 Satyridaeは小~中型で,普通翅に蛇の目様の眼状紋をもち,前翅の脈が基部で袋状にふくらんでいることが特徴となっている。ほとんどが幼虫で越冬する。幼虫の食草はイネ科,カヤツリグサ科などの単子葉植物。世界のおもに旧北区に分布し,約 1400種が知られており,日本にウラナミジャノメツマジロウラジャノメヒメジャノメなど 28種を産する。

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