スカトール(読み)すかとーる(その他表記)skatole

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スカトール」の意味・わかりやすい解説

スカトール
すかとーる
skatole

3-メチルインドールのこと。白色板状結晶で強い不快臭をもつ。融点95℃。沸点265℃。水に溶けにくく、アルコールエーテルには溶ける。プロピオンアルデヒドフェニルヒドラゾンから、塩化亜鉛の存在下で合成される。腸内細菌によるトリプトファン代謝によって生じ、インドールとともに糞臭(ふんしゅう)の原因となっている。

[飯島道子]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「スカトール」の意味・わかりやすい解説

スカトール
skatole


3-メチルインドール,3-メチル-1H-インドールの別名ヒトジャコウネコの排出物中のものは,タンパク質を構成するアミノ酸の一つであるトリプトファンの分解によって生ずる。クスノキ科Nectandra属植物の材質中にも微量含まれる。白色の光沢ある葉状結晶で,融点95℃,沸点265~266℃(755mmHg)。不快な臭気をもつが希薄にすると芳香を示すので,香料の保留材,人工香料シベトンの原料に用いられる。卵白アルブミンを水酸化カリウムとともに強熱して製造する。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

化学辞典 第2版 「スカトール」の解説

スカトール
スカトール
skatole

3-methylindole.C9H9N(131.18).インドールの誘導体.排泄物ビートの根,ニレ科やクスノキ科のある種の木の幹,コールタール中などに存在する.プロピオンアルデヒドフェニルヒドラゾンC2H5CH=NNHC6H5を塩化亜鉛と加熱して合成する.強い悪臭をもつ白色の葉状晶.融点95 ℃,沸点265~266 ℃.1.003.熱水,アルコール類,エーテルに可溶.生体内ではトリプトファンからインドール酢酸を経て生成される.LD50 3450 mg/kg(ラット,経口).[CAS 83-34-1]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スカトール」の意味・わかりやすい解説

スカトール
skatole

3-メチルインドールのこと。タール系インドールの高沸点留分や人の排泄物に存在する不快臭をもつ白色葉状晶。融点 95℃。人体ではトリプトファンの分解によって生成する。プロピオンアルデヒドのフェニルヒドラゾンを塩化銅と加熱してつくる。有機溶媒には溶けやすく,松材に対し呈色反応を示す。希薄溶液は芳香をもっているので,花精油の保留剤として用いられる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

栄養・生化学辞典 「スカトール」の解説

スカトール

 C9H9N (mw131.18).

 3-メチルインドール.トリプトファンの代謝産物で,消化管内に発生し悪臭を発する.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android