腸内細菌(読み)ちょうないさいきん(英語表記)enterobacteria
intestinal bacteria

精選版 日本国語大辞典 「腸内細菌」の意味・読み・例文・類語

ちょうない‐さいきん チャウナイ‥【腸内細菌】

〘名〙 腸の中に常在する細菌大腸菌腸球菌・ビフィズス菌・乳酸菌など多く種類がある。〔生物無生物の間(1956)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「腸内細菌」の意味・読み・例文・類語

ちょうない‐さいきん〔チヤウナイ‐〕【腸内細菌】

腸の中に常在する細菌。大腸菌腸球菌ビフィズス菌乳酸菌など多くの種類がある。栄養摂取や外来菌の防御に役立つ細菌がある一方発癌はつがん感染症をもたらす細菌もある。腸内菌

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「腸内細菌」の意味・わかりやすい解説

腸内細菌 (ちょうないさいきん)
enterobacteria
intestinal bacteria

ヒトを含めた動物の腸内に常在する一群の細菌の総称。腸内の細菌の分布状態を腸内細菌叢と呼ぶ。腸内細菌は,細菌学成立期からヒトや家畜の病気との関連で多くの研究がなされ,それらの研究によって発見された通性嫌気性細菌は腸内細菌科Enterobacteriaceaeとして分類された。この腸内細菌科には,大腸菌属,サルモネラ属プロテウス属,シゲラ属などが含まれており,病原性を示すものが存在している。しかし通常,これらの腸内細菌科の細菌は,腸内細菌叢のごく一部を占めているにすぎない。ヒトの腸内細菌叢は,食物習慣,宿主の年齢,消化管の部位などによって異なるが,おもなものは多くの嫌気性細菌で,バクテロイデス属,連鎖球菌属,ビフィズス菌属,クロストリジウム属などが知られていて,腸内細菌叢の菌種は100を超えると考えられている。腸内細菌は,食物の消化の補助,ある種のビタミンの合成,外来菌の侵入に対する防御などの役割を果たす一方,有害な代謝産物を産生するなど障害の原因となる場合も知られている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「腸内細菌」の意味・わかりやすい解説

腸内細菌【ちょうないさいきん】

ヒトや動物の腸内に生息する細菌の総称。ブドウ糖を分解して酸,または酸とガスを生成したり,ビタミン類の合成,ホルモン合成の手助け,免疫反応の関与などのほか,抗菌性物質をつくって感染を防ぐ働きをする。通常は無害だが,免疫力が低下すると内因感染の原因菌ともなる。ヒトの腸内細菌としては,バクテロイデス,連鎖球菌ビフィズス菌,腸球菌,大腸菌など一人当り100種100兆個にもおよぶ。腸内細菌科の細菌を腸内細菌と呼ぶ場合もあるが,これは必ずしも腸内に生息せず,また腸内細菌の一部を構成するにすぎない。
→関連項目機能性オリゴ糖

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「腸内細菌」の意味・わかりやすい解説

腸内細菌
ちょうないさいきん
enteric bacteria

腸内に生息し,あるいは腸管内で増殖する常在細菌をさす。細菌学的には,腸内細菌 (エンテロバクテリア) 科に属する細菌の総称である。共通する一般性状は次のとおり。 (1) 芽胞をつくらないグラム陰性の桿菌,(2) 通性嫌気性,(3) 普通の人工培地でよく発育,(4) 硝酸塩を亜硝酸塩に還元,(5) ブドウ糖をすみやかに分解して酸とガス,または酸のみを発生,(6) 運動性のないものもあるが,あるものは周毛による。エシェリキア,エドワルドジェラ,シトロバクター,サルモネラ,シゲラ,クレブシェラ,エンテロバクター,ハフニア,セラチアプロテウス,エルシニア,エルウィニアなど 20属に分けられている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

栄養・生化学辞典 「腸内細菌」の解説

腸内細菌

 腸内に生息する細菌.嫌気性細菌が多い.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android