ストーマケア
ストーマとはギリシア語で口のこと。ストーマケアとは,大腸癌(がん)や膀胱腫瘍などで便や尿のストーマである人工肛門や人工膀胱などを造設された人たちに,それぞれのストーマの管理方法を指導したり,管理の援助をすること。 ストーマケアの方法には〈洗腸法〉と〈袋吊り下げ法〉の二つがある。 〈洗腸法〉は,毎日もしくは1日おきに,人工肛門などから湯を注ぎ込み,この湯と一緒に内容物を洗い流してしまうもの。身体の外側に袋をぶら下げる必要がないので快適な日常が送れる反面,洗腸作業に1〜2時間もかかるという欠点がある。 また,この方法は,イレウス(腸閉塞症)や横行結腸によるストーマなど右側にストーマを持つ人,腸に憩室がある人,下痢をしやすい人,手が不自由な人などの場合には適さない。一度洗腸を始めると長い時間がかかるため,家庭内に洗腸を行う場所を確保しなければならないなどの問題もある。 〈袋吊り下げ法〉は,パウチと呼ばれる専用の袋をストーマの周囲に貼り付けて,自然に排泄される大便を受け止める方法。自分で処理ができない場合には,この方法が用いられる。袋が直接肌に触れるため,湿疹(かぶれ)を起こしたり,排泄物が袋の容量を超えてしまい,袋が破裂して中身が飛び散ってしまったりという欠点もある。最近では,さまざまな種類のパウチが開発され,価格も性能も自分にあったものを選択できるようになっている。 大学病院などでは,ストーマ専門の外来(ストーマ外来)を設置する病院も出てきている。そこには,ET(enterostomal therapist)と呼ばれるストーマ療法士(看護婦)がおり,ストーマをもつ人の日常生活におけるケア,仕事や社会活動などの社会復帰上の問題や精神的な問題などについての専門的な助言や指導を行っている。 ストーマをもつ人〈オストメイト〉は日本全国で約10万人に上るともいわれ,患者の会などの活動も盛んに行われている。
→関連項目生体小腸移植
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