スポイラー(読み)すぽいらー(その他表記)spoiler

翻訳|spoiler

デジタル大辞泉 「スポイラー」の意味・読み・例文・類語

スポイラー(spoiler)

飛行機で、主翼上面の、気流阻害して揚力を減らすための可動板。これを立てることで空気抗力を増し、飛行速度を減じたり降下を早めたりする。
競走用自動車で、後部上方に設け、空気流を利用して駆動力を増すための安定翼。また、前部下方に設け、高速時の車体浮上を防止する固定板。エアロスタビライザー。

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精選版 日本国語大辞典 「スポイラー」の意味・読み・例文・類語

スポイラー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] spoiler )
  2. 飛行機の主翼上面の可動板。着陸時や緊急降下時にブレーキ役目をし、低速飛行時には片側を開くことによって補助翼の効きを助ける。阻害板。
  3. 自動車が、空気流によって駆動力と制動力を増すため、後部上方に取り付けた安定翼。また、前部下方に取り付けて、高速時に車体の浮き上がりを防止する固定板のこともいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スポイラー」の意味・わかりやすい解説

スポイラー
すぽいらー
spoiler

ジェット機グライダーなど空気抵抗の少ない航空機の翼の上面にヒンジ止めされた板。阻害板(そがいばん)ともいう。これを人力油圧などで開くことにより、その部分の揚力の発生を阻害(スポイル)して、飛行高度や降下率を変えたり、着陸・進入コースを調整したり、着陸後や離陸中止の際の滑走距離を短くするとき車輪ブレーキの働きを助ける。また揚力の発生の阻害と同時に空気抵抗も増すので、左右同時に開いてスピードブレーキの役目を果たすとともに、補助翼と連動させて左右別々に動かすことによって翼にねじりを与えることなく旋回を行わせることができる。このため補助翼の面積を小さくできるのでフラップ面積が大きくとれ、離着陸性能を向上できる。

[落合一夫]

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改訂新版 世界大百科事典 「スポイラー」の意味・わかりやすい解説

スポイラー
spoiler

航空機の翼に設けられ,これを翼の上に出すことによって気流を乱し,翼の揚力を減らすと同時に抵抗を増す装置。ふつうは翼の上面の一部ドアのように開閉する形に作られている。両翼のスポイラーを同時に上げると機を急速に降下させることができ,また片翼のみ上げると補助翼の代りとして機を横に傾けることができる。着陸接地後に揚力を減らすためのスポイラーはグランドスポイラーと呼ばれる。

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百科事典マイペディア 「スポイラー」の意味・わかりやすい解説

スポイラー

(1)飛行機やグライダーの主翼面上に取り付けた小板。飛行中これを気流方向と直角に突き出すと,翼の揚力が減少し,抗力が増大するので,機体の沈みを大きくすることができ,降下時や着陸時に使用される。また左右いずれかをわずかに操作すると補助翼と同様な効果が得られ,機体を横に回転させることもできる。(2)自動車の車体のまわりの空気の流れを制御するための板状の付加物。高速運転時の揚力を減らし,走行安定性を高める役割をもつ。

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世界大百科事典(旧版)内のスポイラーの言及

【舵】より

…操舵力を適度にするためのバランスタブと,手放しでも舵をある角度に保ち,一定の飛行姿勢を維持して操縦を楽にするためのトリムタブの2種がおもなものである。(2)スポイラーspoiler 主翼の上面に付けられたドアのように開閉する翼面で,これを上げると主翼の揚力が減り抵抗が増す。両翼のスポイラーを同時に上げると急速に降下することができ,また片翼ずつ上げると補助翼の代りに横の操縦に使える。…

【舵】より

…後記のフラップを兼ねているものはフラッペロンと呼んでいる。また飛行機によっては補助翼がなく,代りに後述のスポイラーで横の操縦を行うものもあり,スポイラーと補助翼を併用する機体もある。超音速機などでは,補助翼のほかに全可動式の水平尾翼を左右逆に動かして横の操縦をするものもある。…

【飛行機】より

…これを垂直旋回という。 現在の飛行機では,以上の三つの舵のほかに,スポイラーをつけたものがある。スポイラーは翼の上面,後縁フラップの前の部分にあり,これを垣根のように立てると翼上面の気流が激しく乱れて揚力が減り抗力が増える。…

※「スポイラー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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