翻訳|aileron
航空機の翼の外側後方に丁番(ちょうつがい)で留められている翼面で、左右を逆の方向に動かすことによって翼断面の反りを変え、揚力を加減して機体を横に傾けたり、傾きを補正する働きをする。方向舵(だ)、昇降舵とともに航空機の基本の三つの舵面を構成する。エルロンの語源はフランス語で、補助翼は直訳に近いが、航空機のつり合いのとれた旋回には補助どころではなく、もっとも重要な働きをする。補助翼は左右反対の方向に動くのが特徴だが、下げた側(揚力が増して翼はもち上がる)の補助翼の抵抗が大きくなって旋回を止めようとする傾向を生じる。これをアドバースヨーadverse yaw(逆偏揺れ)といい、操縦性を阻害するので、防止のための対策がとられている。また、高速度の後退翼機では翼の構造が柔軟になり、補助翼を操作すると舵面の効きが現れる前に翼がねじれてしまい、操縦士の意図したほど傾かなかったり、極端な場合には意図と逆に傾く傾向(補助翼逆転)が生じるため、ねじれを生じないように補助翼を内側に寄せたり、スポイラーと併用するようにしている。また、補助翼は構造上フラッター(自励振動)をおこしやすいので、重量を軽くし、丁番より前側に鉛などのおもりを取り付けてバランスをとるなどしている。
[落合一夫]
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…船の場合は方向舵に相当する舵のみを操作すればよいが,飛行機を旋回させるには補助翼も操作して,旋回の中心に近いほうの主翼が下方,外側の主翼が上方になるように機体を傾け,主翼の揚力の水平成分と遠心力をつり合わせなければならない。(3)補助翼aileron 飛行機を横に傾ける横の操縦を行うための舵で,エルロンともいう。ふつうは両主翼の後縁の翼端寄りにある。…
…
[主操縦翼面]
操縦翼面のうちもっともたいせつなものは,飛行機に,上や下に向く,左や右に向く,横に傾くの3種の重心まわりの回転運動をさせるための主操縦翼面で,これを三舵ともいう。ふつうの飛行機には,三舵として昇降舵,方向舵,補助翼があり,これらとエンジンの出力を操作することによってひととおりの操縦ができる。こうした三舵による操縦方式は,ライト兄弟の初飛行から数年後のフランスのファルマン機あたりでほぼ完成され,以後今日まで飛行機の舵の標準として続いている。…
…燃料は主として主翼あるいは胴体内の燃料タンクに収められているが,軍用機などでは,航続性能を増すために,さらに流線形のタンクに入れて翼の下などに懸吊することもある。ジェットエンジンプロペラ
[操縦装置]
飛行機は飛行中や地上滑走中に速度や姿勢や飛行経路などを自由に変えるために,3種類の舵,すなわち昇降舵,補助翼,方向舵をもっている(図5‐a)。昇降舵は水平安定板の後縁にヒンジ(蝶番)で取り付けられ,操縦席で操縦桿(かん)を手前に引くと後縁が上がり,押すと下がるようになっている。…
※「補助翼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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