セント・デニス(読み)せんとでにす(英語表記)Ruth St. Denis

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セント・デニス」の意味・わかりやすい解説

セント・デニス
せんとでにす
Ruth St. Denis
(1877?―1968)

アメリカの女流舞踊家。ニュー・ジャージー州に生まれる。小泉八雲(こいずみやくも)の『普賢菩薩(ふげんぼさつ)の話』を題材にした『オミカ』や、インドの物語を舞踊化した『ラッダ』など神秘的・東洋的な作品を振り付け、名声を得た。1914年、弟子のT・ショーンと結婚し、翌年デニショーン舞踊団を組織(離婚に伴い1932年解団)し、世界各国を巡演。1926年(大正15)に帝国劇場の招待で来日し、『クワドロ・フラメンコ』『ゾキトル』『イシュタールの七つの門』などエキゾチシズムの香りの強い作品を上演している。アメリカ・モダン・ダンスの母といわれ、D・ハンフリーやM・グレアムらを育てた。晩年は宗教的な舞踊の研究と実践に集中した。著書に『終わらざる生涯』(1939)がある。

市川 雅]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セント・デニス」の意味・わかりやすい解説

セント・デニス
St. Denis, Ruth

[生]1877.1.20. ニュージャージー
[没]1968.7.21. ロサンゼルス
アメリカの女性舞踊家。本姓 Dennis。インドや中近東,日本などいわゆるオリエンタル風の舞踊を踊って名声をはせた。 1914年 T.ショーンと結婚し,デニショーン舞踊学校を設立,M.グラハムらのアメリカ・モダン・ダンスの俊英を育てた。 31年ショーンと別居してデニショーンも解散,新たにソサエティ・オブ・スピリチュアル・アーツを創設。その作品は I.ダンカンのように自由即妙で,また,オリエンタル・ダンスを基盤とした宗教色の濃い振付であり,その舞踊は音楽の視覚化への試みであった。自伝『ルース・セント・デニス未完の人生』 Ruth St. Denis: An Unfinished Life (1939) がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android