翻訳|typewriter
印字機。指でキー(鍵)をたたくことで,紙面に文字を印字する機械。欧文と和文の2種類がある。いずれも手動式,電動式,電子式があり,欧文手動式には携帯用のポータブルタイプライターもある。
1714年イギリスのミルHenry Millが筆記機械を考案,特許権を得たことにはじまるとされる。しかし,ミルの機械は図面,実物が現存せず,組み立てられたかどうか不明である。1829年バートWilliam Austin Burtは,タイポグラファーtypographerを発明,アメリカでの特許を得た。タイポグラファーはキーボードをもたず,レバーを回転させて文字を選び印字するもので,人がペンで書く速さと同等程度のものであった。その後,研究が続けられ,アメリカのショールズChristopher-Lathom Sholesの研究は1874年,レミントン父子商会Remington & Sons Co.によって企業化され実用品として認められた。構造は,前面に文字,数字など44~46文字のキーが並ぶキーボード,後部にキーを打つごとに左へ1文字ずつ動くキャリッジがあり,キャリッジにゴムのプラテンがついている。プラテンの長さは11~32インチ。キーを打つとこれに連結するタイプバーが動き,先端の活字がプラテンに巻いた紙に印字される。1961年にIBM社はタイプボール式を発表したが,これは球面上に活字を配置したもので,印字スピード,耐久度に加え,球を交換することで書体が変えられるなどの利点をもつ。78年には同種の利点をもつデイジーホイール式も発表され広く使用されている。種類は,ポータブル式と机上で使用するものに,また手動式と電動式と電子式に大別される。電動式は印字や改行などを電気的に行うものである。1969年IBM社は電動タイプライターに磁気テープを組み合わせて文書を保存する機能をもたせたが,これは英文ワードプロセッサーと電子タイプライターの原型となった。電子タイプライターは,電動タイプライターの機能のほかに短文の記憶用のバッファーメモリーをもち,センタリング,アンダーライン,数字そろえなどの編集機能をそなえたものである。なお,電子タイプライターと欧文ワードプロセッサーの境界は不明確である。
タイプ速度は,熟練により毎分50ワード(250ストローク)~80ワードに達し,国際的なコンテストでは120ワード以上に達する人もいる。
1915年,杉本京太によって発明された。文字盤に活字を並べ,オペレーターは1本1本,必要な活字をさがして印字していく。手書き文書とタイプライターによって印字する速度を比較すると,1時間単位で楷書1100字,行書1300字,草書2000字,タイプ印書2400字という印字数が一般的。ただし,こうした速度になるためには,専門学校に通うなどの訓練が必要である。その種類には一般事務用,教材用,印刷組版(タイプオフ)用がある。一般事務用は文書作成,浄書用小部数をカバーするものが多く,縦横10段ピッチ程度が多く使われている。教材用はおもに学校,タイピスト養成機関等で使われる普及型。印刷組版用は20~40段ピッチと精度の高いもので,軽印刷業界で利用されている。1970年代後半に日本語ワードプロセッサーが開発され,事務用に普及したが,現在はPCにとってかわられた。また印刷組版用にもワードプロセッサーや電子組版機(日本語ワードプロセッサーと和文タイプライターの組合せ)が使用されるようになり,利用の様態に大きな変化がもたらされてきた。
タイプライターには欧・和文ともに検定試験がある。主催は商工会議所で,全国各地の会議所で行われる。欧文がA,B,C,Dクラス,和文は1,2,3,4,5級となっている。いずれも実技と筆記試験によって行われる。
→ワードプロセッサー
執筆者:末次 信義
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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