タイプライター(英語表記)typewriter

翻訳|typewriter

デジタル大辞泉 「タイプライター」の意味・読み・例文・類語

タイプライター(typewriter)

指で鍵盤けんばんをたたいて、文字や記号紙面に印字する機械。欧文のものは米国のC=L=ショールズが試作しレミントン父子社が1873年に実用機を販売。仮名文字のものは明治31年(1898)黒沢貞次郎が創案。和文のものは杉本京太が大正5年(1916)に発売印字機

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精選版 日本国語大辞典 「タイプライター」の意味・読み・例文・類語

タイプライター

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] typewriter ) 活字に連なる鍵盤をたたいて、紙面に文字を印刷する機械。数人の考案ののち一八七四年アメリカのレミントン商会が実用化。和文のものは大正四年(一九一五)杉本京太が考案。また、文字が記号化され、紙テープ穿孔(せんこう)される通信用タイプライターなどもある。タイプ。印字機。
    1. [初出の実例]「各関係者より提出したる訴願の要領左の如し。〈略〉タイプライター十箱の解放を求む リンストア ルベルス商会」(出典:風俗画報‐二八八号(1904)捕獲船の訴願要領)

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改訂新版 世界大百科事典 「タイプライター」の意味・わかりやすい解説

タイプライター
typewriter

印字機。指でキー(鍵)をたたくことで,紙面に文字を印字する機械。欧文と和文の2種類がある。いずれも手動式,電動式,電子式があり,欧文手動式には携帯用のポータブルタイプライターもある。

1714年イギリスのミルHenry Millが筆記機械を考案,特許権を得たことにはじまるとされる。しかし,ミルの機械は図面,実物が現存せず,組み立てられたかどうか不明である。1829年バートWilliam Austin Burtは,タイポグラファーtypographerを発明,アメリカでの特許を得た。タイポグラファーはキーボードをもたず,レバーを回転させて文字を選び印字するもので,人がペンで書く速さと同等程度のものであった。その後,研究が続けられ,アメリカのショールズChristopher-Lathom Sholesの研究は1874年,レミントン父子商会Remington & Sons Co.によって企業化され実用品として認められた。構造は,前面に文字,数字など44~46文字のキーが並ぶキーボード,後部にキーを打つごとに左へ1文字ずつ動くキャリッジがあり,キャリッジにゴムのプラテンがついている。プラテンの長さは11~32インチ。キーを打つとこれに連結するタイプバーが動き,先端の活字がプラテンに巻いた紙に印字される。1961年にIBM社はタイプボール式を発表したが,これは球面上に活字を配置したもので,印字スピード,耐久度に加え,球を交換することで書体が変えられるなどの利点をもつ。78年には同種の利点をもつデイジーホイール式も発表され広く使用されている。種類は,ポータブル式と机上で使用するものに,また手動式と電動式と電子式に大別される。電動式は印字や改行などを電気的に行うものである。1969年IBM社は電動タイプライターに磁気テープを組み合わせて文書を保存する機能をもたせたが,これは英文ワードプロセッサーと電子タイプライターの原型となった。電子タイプライターは,電動タイプライターの機能のほかに短文の記憶用のバッファーメモリーをもち,センタリング,アンダーライン,数字そろえなどの編集機能をそなえたものである。なお,電子タイプライターと欧文ワードプロセッサーの境界は不明確である。

 タイプ速度は,熟練により毎分50ワード(250ストローク)~80ワードに達し,国際的なコンテストでは120ワード以上に達する人もいる。

1915年,杉本京太によって発明された。文字盤に活字を並べ,オペレーターは1本1本,必要な活字をさがして印字していく。手書き文書とタイプライターによって印字する速度を比較すると,1時間単位で楷書1100字,行書1300字,草書2000字,タイプ印書2400字という印字数が一般的。ただし,こうした速度になるためには,専門学校に通うなどの訓練が必要である。その種類には一般事務用,教材用,印刷組版(タイプオフ)用がある。一般事務用は文書作成,浄書用小部数をカバーするものが多く,縦横10段ピッチ程度が多く使われている。教材用はおもに学校,タイピスト養成機関等で使われる普及型。印刷組版用は20~40段ピッチと精度の高いもので,軽印刷業界で利用されている。1970年代後半に日本語ワードプロセッサーが開発され,事務用に普及したが,現在はPCにとってかわられた。また印刷組版用にもワードプロセッサーや電子組版機(日本語ワードプロセッサーと和文タイプライターの組合せ)が使用されるようになり,利用の様態に大きな変化がもたらされてきた。

タイプライターには欧・和文ともに検定試験がある。主催は商工会議所で,全国各地の会議所で行われる。欧文がA,B,C,Dクラス,和文は1,2,3,4,5級となっている。いずれも実技と筆記試験によって行われる。
ワードプロセッサー
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百科事典マイペディア 「タイプライター」の意味・わかりやすい解説

タイプライター

印字機。指でキーをたたくことにより文字を印書する機械。欧文タイプライター,和文タイプライターのほか,片かなを打つかな文字タイプライター,通信用タイプライター(印刷電信機)などがある。欧文タイプライターは1714年英国で発明され,1874年レミントン父子商会(米)が商品化したもので,前面に文字・符号・数字などの並ぶ鍵盤(けんばん)があり,これを両手の指でたたく。触れただけで働く電動式,せん孔テープに従って同文の書類を印字する自動式,音の小さい無音式などが作られている。和文タイプライターは1915年杉本京太により発明され,改良されたもので,約3000字の活字を備え,これを一つずつ拾って印字をする。一般用と印刷組版用があり,後者は20〜40段ピッチと高精度で軽印刷業界で利用。日本語ワードプロセッサーパーソナルコンピューターの普及にともない,また印刷組版用にもパーソナル・コンピューターや電子組版機(日本語ワードプロセッサーと和文タイプライターの組合せ)が使用されるようになり,利用の様態に大きな変化がもたらされた。
→関連項目外字事務機械

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