日本大百科全書(ニッポニカ)「タイムレコーダー」の解説
タイムレコーダー
たいむれこーだー
time recorder
従業員の出退勤・時間外勤務などを記録して時間管理を行う事務機。1871年、アメリカのウィルソンJohn C. Wilsonが試作第1号機を製作したのが最初で、日本では1931年(昭和6)に国産品が発売された。第二次世界大戦終了後、戦前と同じぜんまい式の生産が再開されたが、広く普及したのは50年代に電動打刻式が出現してからである。75年ごろからは時計部分にクォーツを採用、78年にはエレクトロニクスを導入して複雑な勤務シフトに対応できる機種が登場した。さらに、80年からはマイコンを組み込み、給料計算などまでを行う機種も販売されている。
種類を大別すると、〔1〕機械式、〔2〕電子式、〔3〕集計機能付き、〔4〕システムタイムレコーダーの4種があり、順次機能が拡大する。〔1〕は同期モーターを使用し、時計の駆動部、カード送り機構、印字機構の基本構造に、時報装置、月末自動調整装置、停電時稼動装置などが適宜付加される。〔2〕は数個のIC基盤にその会社の出退に関するプログラムを入れ、電子メロディーの時報、異例勤務への対応を行う。〔3〕はさらにパート、アルバイト、正社員の勤務シフトに対応するとともに、残業時間や簡単な賃金まで算出する。〔4〕はIDカードや複雑な記録のとれるカードを使用し、各端末からの勤務情報をコンピュータに入れ、集計、賃金計算、統計などを行い、さらにオンラインシステム、LAN(ラン)システムに接続する。将来は視覚・掌紋・音声センサーなどの個人識別により、より高度の時間管理を指向するものと思われる。
[古長尉角]