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ギリシア神話の天地生成で、カオス(混沌(こんとん))から生じた地下のもっとも奥底にあたる部分の擬人化。また冥界(めいかい)においては極悪の重罪人が落とされるという底なしの奈落(ならく)。そのいちばん下の部分と冥界の支配者ハデスとの距離は、大地と天の間のそれと等しいという。キクロペスやティタンのような神々の権力争いの敗者とか、タンタロス、シシフォス、イクシオンのような神々への反逆者、あるいは冒涜者(ぼうとくしゃ)が落とされる牢獄(ろうごく)であった。ゼウスに背けばオリンポスの神々さえもここに投げ込まれるので、タルタロスは恐れられていた。しかし、時代が下ると冥界そのものと同一視されるようになった。
[伊藤照夫]
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[宇宙の生成]
幾種かの宇宙生成神話が伝えられるうちで,もっとも規範的なのはヘシオドスの語るもので,ここでは神々も宇宙も生まれ出てくるものと構想される。最初は空虚を意味するカオスが,ついでガイア(大地)とその奥底なるタルタロスが,さらにいわばいっさいの生成の根源力としてエロスが生じた。カオス(中性名詞)からは形なきものどものエレボスErebos(闇)とニュクスNyx(夜)とが,そして夜から輝く上天の気アイテルAithērとヘメラHēmera(昼)とが生まれる。…
…それは地下に想定される暗い場所であるが,むしろヘブライ語のシェオールに匹敵する語であって,苛責の獄を意味するものではない。また,《ペテロの第2の手紙》2章4節には,〈神は,罪を犯した御使たちを許しておかないで,彼らを下界におとしいれ,さばきの時まで暗やみの穴に閉じ込めておかれた〉とあるが,この堕落天使たちの住居である〈暗やみの穴〉の原語はタルタロス(神の名でもある)で,ホメロスはこれをハデスよりもさらに下方に設定している。すなわちゼウスがティタンたちを閉じ込めた場所である。…
… 古代ギリシア人の考えによれば,死者の亡霊はまずヘルメスによって冥界の入口にまで導かれ,ついで生者と死者の国の境の川ステュクスまたはアケロンを渡し守の老人カロンに渡されたあと,三つ頭の猛犬ケルベロスの番するハデスの館で,ミノス,ラダマンテュス,アイアコスの3判官に生前の所業について裁きを受ける。その結果,多くの亡霊はアスフォデロス(不花)の咲きみだれる野にさまようことになるが,神々の恩寵めでたき英雄や正義の人士はエリュシオンの野(古い伝承では,はるか西方の地の果て,のちに冥界の一部と考えられた)に送られて至福の生を営む一方,シシュフォスやタンタロスのごとき極悪人はタルタロスなる奈落へ押しこめられ,そこで永遠の責め苦にあうものと想像された。【水谷 智洋】。…
※「タルタロス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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