ギリシア伝説で,小アジアのシピュロス山付近の王。ゼウスの子で,ペロプスPelopsとニオベNiobēの父。莫大な富をもち,神々に愛されていたが,心おごって増長したあげく,神々を試すべく,わが子ペロプスを殺して料理し,これを神々に供したため,あるいは神々の食卓に招かれたあと,その秘密を人間に漏らした,または神々の飲食物たるネクタルとアンブロシアを盗んで人間に与えたため,罰として無間地獄タルタロスへ落とされた。ホメロスによれば,彼はそこで,池に首までつかりながら,水を飲もうとすれば水は退き,果物がたわわに実った頭上の枝に手をのばすと枝も退き,永遠の飢えと渇きに苦しめられているとされ,またピンダロスによれば,頭上に大石をつるされ,たえずおしつぶされる恐怖におののいているという。なお,タンタロスに殺されたペロプスは,このあと神々によって蘇生させられ,アトレウスの父,アガメムノン,メネラオスらの祖父となった。
執筆者:水谷 智洋
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ギリシア神話の富裕な王。ゼウスの子で、神々に愛され、その食卓に招かれたが、このときの秘密を人間に漏らした、あるいは神々の飲食物ネクタルとアンブロシアを人間に与えたために、底なしの奈落(ならく)タルタロスへ落とされた。彼は池中に首までつかり、水を飲もうとすれば水がなくなり、頭上の果実の実った枝を手でとろうとすれば枝が遠ざかり、永遠の飢えと渇きに苦しんでいるという。また、神々の知力を試すために、タンタロスは子のペロプスを殺して料理し、神々に供したという。頭上に巨石がつるされ、永遠の恐怖におののいているともいわれる。ペロプスからアガメムノンに至るタンタロスの子孫がタンタリダイTantalidaiとよばれていた。
[伊藤照夫]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…アトレウスAtreus一族はギリシア神話で,タンタロスを始祖としミュケナイに依拠して勢力を扶植した有力な家系であるが,肉親間での謀殺,姦通といったむざんな犯罪が繰り返し演じられる運命を担わされた。この一族を見舞ったできごとは,古代において多くの作家に取り上げられた結果,伝説の細部については多くの異説が見られる。…
…ゲルマン神話中のオーディンの肩にはフギン(思考)とムニン(記憶)という2羽のカラスがとまっていて,見聞きしたすべてのことを彼の耳にささやいていた。ギリシア神話では神々の寵児タンタロスが増長の末,神々を試そうとして息子ペロプスPelopsを殺して肉料理をつくり,神々にささげた。悟った神々はだれも食べなかったが,娘の行方を捜す女神ケレスだけは他に気をとられていたためペロプスの左肩の部分を食べてしまった。…
※「タンタロス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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