ターリエン(大連)特別市(読み)ターリエン(英語表記)Dalian

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ターリエン(大連)〔特別市〕
ターリエン
Dalian

中国東北地方,リヤオニン(遼寧)省南部の港湾都市。リヤオトン(遼東)半島の中央から南部を占め,東岸沖のチャンシャン(長山)群島も含む。省轄市で 6市区と 4県からなり,市区は半島の先端部にある。漢代に町が開かれ,明代にはチンニワ(青泥窪)と呼ばれていたが,1898年ロシアが租借して自由貿易港とし,ダリニー Dal'nii(遠隔の地)と名づけた。日露戦争後日本がロシアの権益を引き継ぐと,日本から中国東北地方への門戸となり,満州国の成立後は人口の半数を日本人が占めたが,第2次世界大戦後中国に返還された。1950年ターリエンとリュイシュン(旅順)との合併によってリュイター(旅大)市として成立したが,1981年ターリエン市と改称された。この市のおもな建物のほとんどは日本人の手になる。市街地はターリエン港を中心とし,ターリエン湾岸と背後の丘陵地にかけて広がる。ターリエン港は深水不凍港で,東北地方最大の商港,貿易港である。12の埠頭があり,5000~1万t級の船舶が 50隻停泊できる。北東方に 1976年原油専用の新港が完成し,10万t級のタンカーが停泊できる深水バース 2,14隻の大型タグボートと作業船の停泊できる専用埠頭などがある。ターチン(大慶)油田からティエリン(鉄嶺)市を経て大口径の地下パイプラインが通じており,原油,石油製品を輸出している。重化学工業の発展もめざましく,機械,鉄鋼,造船,石油化学,紡織,食品などの工場が建設された。大工場としてはターリエン機関車車両工場,ホンチー(紅旗)造船所などがある。チャンシャン群島や,南方に連なるミヤオタオ(廟島)群島の好漁場を控えて,多数の漁港がある。特にターリエン港にはリュイター水産公司によって漁業コンビナートが築かれており,冷凍倉庫,製氷工場,漁船,漁具の修理工場,水産物加工工場などをもつ。タチウオ,キグチ,コウライエビヒラメタラなどが漁獲される。西岸フーチョウ(復州)湾は省の重要な製塩地域。農村部ではコムギ水稲を主作物とするが,果樹栽培が盛んで,リンゴ,モモ,スモモ,サクランボなど種類も多い。特にリンゴは全国産量の 2分の1以上を占め,チエンシャン(千山)山脈西麓のシュンユエチョン(熊岳城)はリンゴの里と呼ばれ,春はリンゴの花に埋もれる。三方を海に囲まれ風光明媚でリヤオニン省最大の観光都市となっている。シェンター(瀋大)鉄道が通る。リュイシュン港は海軍基地である。市区人口 218万1583(2002推計),都市圏人口 316万7000(2007推計)。

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