イギリス共産党指導者、ジャーナリスト。インドに関する著作でも知られる。カルカッタ(現コルカタ)の名門ダット一族出身のインド人医師を父、スウェーデン人を母としてケンブリッジに生まれる。R・C・ダットは祖父の兄弟。貧民の医者として労働者街に住んだ父の家は、訪英インド民族主義者のたまり場であった。オックスフォードのバリオール・カレッジ在学中に独立労働党に入党(1914)、マルクス主義者の反戦運動に参加、投獄され退学処分を受ける。まもなく復学し優秀な成績で卒業(1918)。イギリス共産党創立に参加(1920)、『レイバー・マンスリー』を創刊、編集者となる(1921~1974)。党機関紙『ワーカーズ・ウィークリー』(1922~1924)、『デーリー・ワーカー』(1936~1938)の主筆、党執行委員会委員(1923~1965)、同副議長(1943~1961)、党副委員長(1961~1965)を歴任。第7回コミンテルン大会で執行委員候補となり(1935)、B・ブラッドリーとともにインドの統一戦線強化を訴えた『ダット‐ブラッドリー・テーゼ』を執筆(1936)。独立前夜初めてインドを訪れカルカッタのメーデー大会で演説(1946)。著書その他を通じてインド共産党の発展に大きな影響を与えた。終生一貫して旧ソ連共産党を擁護した。
[古賀正則]
『石沢新二訳『マルクス主義者の見たインド』(1927・叢文閣)』▽『松原宏訳『ファシズム論』(1936・叢文閣)』▽『松原宏・庄司登訳『世界政治論』(1937・叢文閣)』▽『新時代叢書刊行会編『大英帝国の危機――崩れゆくイギリス帝国の分析』(1951・新時代社)』▽『大形孝平訳『現代インド』(1956・岩波書店)』
植民地下インドのインド人行政官、政治家、経済史家。カルカッタ(現、コルカタ)の著名な作家・教育家の家系に生まれる。父は副知事。カルカッタ大学在学中ロンドンに赴き(1868)、インド高等文官試験に合格(1869)、最初のインド人高等文官となる。49歳のときオリッサ(現、オディシャ)の行政官を最後に退職(1897)。ロンドン大学のインド史講師を務め(1898~1904)、その間インド国民会議派議長(1899)となる。帰国後、バローダ藩王国蔵相を務めた(1904~1907)。19世紀インドの経済史に関する著作『ビクトリア期イギリス領インド経済史』は今日でもその価値を失わない。ベンガル農民、インドの飢饉(ききん)、インド文化史に関する著作、インド古典の翻訳、ベンガル語の小説でも知られる。61歳カルカッタで死去。
[古賀正則]
インドの詩人で,ベンガル語近代詩を確立した。東ベンガル(現在のバングラデシュ)ジェソール県生れ。カルカッタのヒンドゥー・カレッジに学び,英語での詩作に励む。19歳のとき,キリスト教に改宗。1848年から8年間マドラスで教職に就くかたわら英語の著作活動を続けるが,やがてその限界を悟り,カルカッタに戻って後,ベンガル語の詩,劇の創作に打ち込む。ヨーロッパ詩の影響の下に無韻の叙事詩,劇やソネットをベンガル語で書き,近代人の屈折した感情を表現するのに成功した。叙事詩《メグナード殺しMeghnādbadh》(1861)は彼の最高傑作であるとともにベンガル近代詩最初の収穫である。62年,念願の渡欧,辛苦のすえ弁護士の資格を取って帰国するが,晩年は極貧のうちに過ごした。代表作に風刺劇《これが文明というものか?》(1860),歴史劇《クリシュノクマリ》(1861),渡欧中の作品《十四行詩集》(1866)等がある。
執筆者:大西 正幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
1848~1909
インドの行政官,文筆家。ベンガル出身。スレンドラナト・バナジーらとともにイギリスに留学。1871年にインド高等文官職試験に合格し,97年に退官した。99年には,国民会議派ラクナウ大会の議長に選出された。流出理論にもとづき,民族主義の立場から書かれた『インド経済史』2巻(1901~03年)は名著の誉れが高く,今でも読み継がれている。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
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