(読み)ダツ

デジタル大辞泉の解説

だつ【脱】

[語素]名詞に付いて、その境遇から抜け出す、の意を表す。「サラリーマン」

だつ【脱】[漢字項目]

常用漢字] [音]ダツ(慣) [訓]ぬぐ ぬげる ぬく ぬける
外側を覆っているものを取り去る。ぬぐ。「脱衣脱穀脱皮脱帽着脱
ある枠や組織から抜ける。抜け出す。はずれる。「脱会脱却脱臼(だっきゅう)脱獄脱出脱線脱退脱法逸脱離脱
ある物から要素の一部を抜き取る。取れて無くなる。「脱脂脱臭脱色脱毛虚脱剝脱(はくだつ)
有るべきものが抜け落ちて無い。「脱簡脱字脱文脱漏誤脱漏脱
俗っぽさから抜け出ている。あっさりとしてこだわりがない。「滑脱解脱(げだつ)洒脱(しゃだつ)超脱

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精選版 日本国語大辞典の解説

だつ【脱】

〘語素〙 名詞の上に付けて、そのものから脱けだす、のがれるの意を表す。「脱社会」「脱文明」など。

だっ‐・する【脱】

[1] 〘自サ変〙 だっ・す 〘自サ変〙
① ある物や、情況・境遇などから抜け出る。逃げて外に出る。
※史記抄(1477)一三「高祖はそばになって罪を脱したぞ」
② ある組織・仲間から出る。脱退する。
※東京日日新聞‐明治二四年(1891)三月二五日「宿老板垣伯〈略〉一たび立憲自由党を脱するに至れり」
③ ある境地・考え・気持から抜け出る。
※正法眼蔵(1231‐53)大修行「野狐を脱しをはりぬれば、本覚の性海に帰するなり」
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉四「この書余をして夢死より警覚せしめ、余を導て卑下の見識を脱せしめたり」
④ 漏れる。抜け落ちる。
[2] 〘他サ変〙 だっ・す 〘他サ変〙
① 身につけているものを身体から放す。脱ぐ。また比喩的に、身についた汚点、臭いなどを消し去る。ぬぐう。
※正法眼蔵(1231‐53)洗浄「褊衫および直裰を脱して、手巾のかたはらにかく」
※妙好人伝(1842‐52)初「時にこの小女(むすめ)死を軽んずること破れ草鞋を脱(ダッ)するがごとし」
② 込められているもの、つまっているものなどを、その中から抜く。
※内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉七「いつしか栓を脱(ダッ)せしと見え」
③ 特に、子を産み落とす。また、流産する。堕胎する。
※読本・本朝酔菩提全伝(1809)五「已に胎内の児を堕(ダッ)せんとしたる折節」
④ (未完成の状態を出る意から) できあがる。終える。特に、原稿を書き上げる。
※読本・椿説弓張月(1807‐11)残「結局悉(ことごとく)稿を脱(ダッ)して、全本となれり」
⑤ 脱落させる。落とす。漏らす。
※史記抄(1477)四「必是は史記の本が字を脱したぞ」
[補注](二)③の意で、「読本・本朝粋菩提全伝‐一」には「いかほど月は満るとも子を脱(ダッ)す事奇妙にて」のような四段活用化したと見られる例がある。

ぬが・す【脱】

〘他サ五(四)〙 衣服、履き物など、身につけているものを取りのぞかせる。また、衣服をぬがせて裸にする。
※浮世草子・西鶴諸国はなし(1685)五「背中に鍋炭の手形あるべしと、かたをぬがして、せんさくするに」

ぬ・ぐ【脱】

[1] 〘他ガ五(四)〙 (古くは「ぬく」) 身に付けている物を取り去る。衣類、履物、かぶり物などを身体から取り除く。
※伊勢物語(10C前)六二「きぬぬきてとらせけれど、捨てて逃げにけり」
※大唐西域記長寛元年点(1163)五「象は鞍を解(おろ)さず、人は甲(かぶと)を釈(ヌ)がず」
[2] 〘自ガ下二〙 ⇒ぬげる(脱)
[補注]語源的には「抜く」と同一で、意味の分化に応じて清濁の違いによる語形の相違を生じたものと見られる。

ぬ・げる【脱】

〘自ガ下一〙 ぬ・ぐ 〘自ガ下二〙 身につけていた物が取れて離れる。衣服、履物などがからだからはずれる。
※浮世草子・日本永代蔵(1688)二「ゑぼしのぬげるもかまはず」

だっ‐・す【脱】

〘自他サ変〙 ⇒だっする(脱)

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