チェリー(読み)ちぇりー(英語表記)Don Cherry

デジタル大辞泉 「チェリー」の意味・読み・例文・類語

チェリー(cherry)

。また、サクランボウ。桜桃。 春》

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精選版 日本国語大辞典 「チェリー」の意味・読み・例文・類語

チェリー

(cherry)
[1] 〘名〙
① 桜のこと。
魔風恋風(1903)〈小杉天外〉後「チェリーの杖(ステッキ)
② 桜の実。さくらんぼう。桜桃。《季・春》
※鴛鴦の間(1955‐56)〈舟橋聖一〉九「果物の瓶詰では、ペアー、チェリーなど」
[2] 明治三七年(一九〇四)から太平洋戦争ごろまで、日本で発売されていた両切りタバコの銘柄。昭和四五年(一九七〇)からフィルター付き紙巻タバコの銘柄として復活。
銀座八丁(1934)〈武田麟太郎〉「チェリイの古缶につめた刻み煙草」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チェリー」の意味・わかりやすい解説

チェリー
ちぇりー
Don Cherry
(1936―1995)

アメリカのジャズトランペット奏者。母方にアメリカ先住民チョクトウ人の血を引くアフリカ系アメリカ人としてオクラホマ・シティに生まれ、ロサンゼルスのワッツ地区で育つ。幼児期はラジオでブルース・ミュージシャン、ジョニー・オーティスJohnny Otis(1921―2012)の音楽を聴き、ブルース、リズム・アンド・ブルースを好むようになる。中学生のころからトランペットを手にし、高校生になると、近くに住む同世代のドラム奏者ビリー・ヒギンズBilly Higgins(1936―2001)と知り合う。2人はリズム・アンド・ブルース・バンドに加わるが、このときチェリーはピアノを担当した。その後チェリーはテナー・サックス奏者ジェームズ・クレイJames Clay(1935―1994)とジャズ・メシアというバンドを組み、ロス周辺で名が知られるようになる。

 1956年アルト・サックス奏者オーネット・コールマンと知り合い、以後行動をともにする。1958年コンテンポラリーレーベルに、コールマンの初レコーディング・リーダー作『サムシング・エルス』のサイドマンとして、チェリーも初レコーディングを経験する。1959年コールマンとともにニューヨークに進出し、ジャズ・クラブ「ファイブ・スポット」に出演、賛否両論の嵐のなかで一躍「フリー・ジャズ」のニュー・スターとして注目を集める。同年、フリー・ジャズの問題作とされたコールマンの『ジャズ来るべきもの』のサイドマンを務める。この時期のチェリーの演奏は非常にコールマンと似ていたため、双子のようだと形容された。

 1960年から1962年にかけ、テナー・サックス奏者ジョン・コルトレーン、アルト・サックス奏者エリック・ドルフィー、ソプラノ・サックス奏者スティーブ・レイシーSteve Lacy(1934―2004)、テナー・サックス奏者ソニー・ロリンズらと共演し、アルバムを制作。1963年アルト・サックス奏者ジョン・チカイJohn Tchicai(1936―2012)、テナー・サックス奏者アーチー・シェップArchie Shepp(1937― )らと「ニューヨーク・コンテンポラリー・ファイブ」を結成。その後渡欧し、コペンハーゲンにあるジャズ・クラブ「カフェ・モンマルトル」でライブ・レコーディングを行い、アルバム『ザ・ニューヨーク・コンテンポラリー・ファイブ』The New York Contemporary Five Vol. 1~2(1963)を発表する。

 1964年テナー・サックス奏者アルバート・アイラーと共演。翌1965年にはアルゼンチンのテナー・サックス奏者ガトー・バルビエリGato Barbieri(1934―2016)と双頭コンボを組み、ブルーノート・レーベルにアルバム『コンプリート・コミュニオン』Complete Communionを吹き込む。このころから民族音楽への関心が高まり、ヨーロッパ、アジア、インド、アフリカ、南米を訪れ各地の音楽に親しむ。

 1970年、ストックホルム郊外に家族と移住、ベジタリアンとなり、玄米だけで暮らしていたこともある。こうした生活から生まれたのが1971~1972年に録音されたアルバム『オーガニック・ミュージック・ソサエティ』で、彼の生活と一体化した音楽の記録である。

 1976年テナー・サックス奏者デューイ・レッドマンDewey Redman(1931―2006)、ベース奏者チャーリー・ヘイデンCharlie Haden(1937―2014)、ドラム奏者エド・ブラックウェルEd Blackwell(1929―1992)らとグループ「オールド・アンド・ニュー・ドリームズ」を結成。同じころシタール、タブラ奏者のコリン・ウォルコットCollin Walcott(1945―1984)、ビリンバウ(ひょうたんを共鳴体とし、取り付けた竿に張った弦のうなりを響かせるブラジルの楽器)奏者ナナ・バスコンセロスNana Vasconcelos(1944―2016)らと民族音楽色の強いグループ「コドナ」を組織。1980年代は義理の娘にあたるネナ・チェリーNeneh Cherry(1964― )の加わっているパンク・バンド「リップ・リグ・アンド・パニック」にゲスト出演したりもした。

 彼の音楽のスタート地点はコールマンの影響を強く受けた、いわゆるフリー・ジャズであるが、しだいに特定のジャンルにとらわれず、あらゆる種類の音楽を自分の演奏に取り込んでいくようになる。これはジャズがもともともっていた混交音楽としての本質に沿った柔軟な姿勢といえる。

[後藤雅洋]

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デジタル大辞泉プラス 「チェリー」の解説

チェリー〔タバコ〕

大蔵省専売局が1904年に発売した国産の紙巻たばこ。日露戦争の戦費調達を目的として施行された煙草専売法のもとで発売された最初の両切たばこ3銘柄のひとつ。10本入り6銭。1970年にも同名のフィルターつき紙巻たばこが日本専売公社(現・JT)から発売されたが、2011年に販売終了。

チェリー〔キャラクター〕

サンリオのキャラクターシリーズ「ルロロマニック」のメインキャラクター。架空の町「シュクルタウン」の闇の世界に住む、ピンク色の悪魔の女の子。

チェリー〔自動車〕

日産自動車が1970年から1978年まで製造、販売していた乗用車。4ドアセダン、5ドアセダンを中心とする。後継車はパルサー。

チェリー〔家庭紙〕

コトブキ製紙が販売するトイレットペーパーの商品名。シングル、ダブル2枚重ね、24ロール入り。

チェリー〔曲名〕

日本のポピュラー音楽。歌は日本のバンド、スピッツ。1996年発売。作詞・作曲:草野正宗。

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