チオール

化学辞典 第2版「チオール」の解説

チオール
チオール
thiol

チオアルコールともいう.ヒドロキシ基の酸素原子を硫黄原子に置換した,RSH化合物の総称.低分子量の化合物は広く天然に存在し,漬けものの香気スカンク臭気など強い特有の臭いをもつ.硫黄原子の影響で,相当するアルコールに比べて極性が低く,弱酸性であり,有機溶媒には溶けるが,水に溶けにくく,沸点も低い.脂肪族チオールがハロゲン化アルキル硫化水素ナトリウムとから得られるのに対し,芳香族チオールはアリールグリニャール試薬と単体硫黄との反応で得られる.脂肪族チオールに比べ芳香族は酸性が強く,アルコールに近い性質をもつ.重金属塩と安定なメルカプチドを形成する.酸化されやすく空気中でもジスルフィドを与えるが,この性質は生体内でも重要な役割を果たしている.赤外吸収スペクトルでは2500 cm-1 付近にS-Hの吸収を示す.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

百科事典マイペディア「チオール」の解説

チオール

メルカプタン,チオアルコールとも。アルコールの水酸基の酸素原子の代りに硫黄原子の入った化合物R−SHをいう。−SHをメルカプト基と呼ぶ。メタンチオールCH3SHはその一例。一般に強い悪臭があり,弱い酸性を示す。(CH3S)2Hgなど重金属の塩とも容易に反応し結晶性の金属誘導体を与える。酸化すればジスルフィドR−S−S−R,スルホン酸などになる。低級のチオールは都市ガス等の臭気付与剤,メタンチオールはメチオニンの合成原料となる。
→関連項目脱硫

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世界大百科事典 第2版「チオール」の解説

チオール【thiol】

メルカプト基-SHが炭化水素基と結合した有機化合物R-SHの総称で,メルカプタンmercaptanと呼ばれることもある。アルコールの水酸基の酸素原子に代わって硫黄原子が入った形であり,チオアルコールthioalcoholともいう。一般に無色液体で,悪臭を有する。たとえば,スカンクの臭気成分には1‐ブタンチオールCH3CH2CH2CH2-SHが含まれる。食品や香辛料のにおいもチオール類が原因となることが多い。

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