イタリアの画家。本名チェンニ・ディ・ペーポCenni di Pepo。フィレンツェに生まれ,おそらくピサで没した。記録によって確認される彼の現存作品は,ピサ大聖堂内陣モザイクのうちの《ヨハネ》(1301-02)1点しかなく,その他の彼の作品とされるものは,すべて様式上からの帰属による。2点の《キリスト磔刑》(アレッツォ,フィレンツェ)は,図像的にジュンタ・ピサーノGiunta Pisano(13世紀前半に活躍)の確立した〈苦悩のキリスト〉を踏襲しているが,刻線的な強い輪郭線,金のハイライトを施した繊細な衣のひだの描写,彫刻的な肉付けは,コッポ・ディ・マルコバルドCoppo di Marcovaldoの影響を示している。また《玉座の聖母子と四天使およびフランチェスコ》の壁画や,《サンタ・トリニタの聖母》では,聖像に人間的生命を注入し,三次元的空間感覚をも見せている。彼はビザンティンからゴシックへと移行するフィレンツェ絵画の展開過程にあって,指導的役割を果たした画家の一人であり,ジョットへの道を準備した(フィレンツェ派)。
執筆者:生田 圓
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…おもに14世紀初頭から16世紀中葉にかけての人々を指す。まず,16世紀の美術史家バザーリによって,中世に衰退した芸術を〈再生〉した人々の筆頭にあげられている,13~14世紀の画家チマブエとジョットは,ビザンティン美術の影響からイタリアの絵画を解放した。とくにジョットは,三次元的ボリュームをもった肉体の描出,人間の感情と行為の表現,空間の暗示などの点で,〈真実〉の合理的表現に向かうルネサンス絵画の基本的な方向を決定した。…
※「チマブエ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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