日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツクバネガシ」の意味・わかりやすい解説
ツクバネガシ
つくばねがし / 衝羽根樫
[学] Quercus sessilifolia Bl.
ブナ科(APG分類:ブナ科)の常緑大高木。幹は直立し、樹皮は灰黒緑色でやや滑らか。褐色の皮目が縦に並ぶ。葉は革質で、長さ6~12センチメートル、基部はくさび形で、頂端部にのみ低い鋸歯(きょし)がある。互生するが枝の頂部に輪状に集まり、衝羽根(つくばね)のようにみえる。名は、この葉のつき方に由来する。葉柄は8ミリメートル前後。幼葉は外巻きから展葉し、他のカシ類ではみられない特性をもつ。雄花序、雌花序の開花は新葉と同時。食用にもなる果実は翌年の秋成熟し、堅果はやや縦線が目だつ。殻斗(かくと)には6~7層の横輪があり、短毛が密生する。日本の中部以南の低山と台湾に分布する。材は重く、狂いが少ないため建築材、船材に使われる。生育環境も実の形もよく似たアカガシとは、葉柄の長さ、鋸歯の有無、開葉時の形態、樹皮などで区別できる。
[萩原信介 2020年1月21日]