インドネシア南東部,小スンダ列島に属す島。北東から南西に細長く延び,長さ約480km,面積約3万1000km2。人口約130万。地形的にはスンバ島などとともに小スンダ列島の本系列から分かれた島列を形成し,その間にサウ(サブ)海を抱く。島は山がちで古い岩石が基盤をなし,火山活動は存在しない。最高点は中央部のタタマイラウ山(2960m)。南西部では台地が多く,また隆起サンゴ礁が著しく発達する。気候は乾季がかなり長く,降水量もインドネシアの他地域に比して少ない。したがって海岸を除けば密林は少なく,サバンナ的疎林に覆われる部分が多く,ユーカリ,アカシアなどオーストラリア系の植物もまじる。住民の大部分はティモール族で,マレー系であるが,パプア的要素もかなり混じっているらしい。地域的に多くの部族に分かれる。そのほか中国系,ポルトガル人との混血などもみられる。
島は16世紀にポルトガルのアジア進出に際し,香料群島(モルッカ諸島)への中間基地として,また島の特産物白檀木獲得のため占領された。のちポルトガルの勢力が衰えるとオランダが進出し,1769年の条約で島を二分,東部をポルトガル領,西部をオランダ領とした。白檀木はその後ほとんど切り倒されたが,一般に原住民は焼畑耕作により米,トウモロコシ,イモ類を栽培し,また牧畜を行っている。コーヒー,コプラの生産も近年は進んだが,概してポルトガル領部分はなお未開拓の程度が強かった。1975年,ポルトガル本国での前年の政変の影響を受けてティモールのポルトガル領部分でも独立運動が起こったが,インドネシアはこれに介入,76年,東部ティモール住民の希望によるという形でこれをインドネシア領に併合した。しかし独立運動はその後も続き,2002年に東ティモールは独立した(首都はディリ)。一方,西半部の旧領は東ヌサ・テンガラ州の一部として統治され,州都はクパンに置かれている。いずれにしても島の開発は今後の問題であろう。なお,同島とオーストラリアとの間には動物地理学上のウェーバー線が設定され,アジア系とオーストラリア系の生物分布の境界としても知られる。
執筆者:別技 篤彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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