アメリカの物理学者。中国名は丁肇中(ティンチャオチュン)。両親がアメリカ訪問中にミシガン州アナーバーで生まれたため、アメリカの市民権を得た。生後2か月で中国に戻り、20歳のとき、ふたたびアメリカに赴いた。ミシガン大学を1959年に卒業、1962年博士号を取得した。その後、ジュネーブのヨーロッパ原子核研究機構(CERN(セルン))、コロンビア大学などで加速器を用いて原子を構成する基本粒子の研究を行った。1969年マサチューセッツ工科大学(MIT)物理学科のスタッフとなる。1971年ブルックヘブン国立研究所で実験を進め、1977年にはMITの教授となった。
ブルックヘブン国立研究所において、シンクロトロンを用いてベリリウムに陽子を照射した結果、長寿命の新しい粒子を発見、J粒子と名づけた。同時期にリヒターによっても同じ粒子が発見され、ψ(プサイ)粒子と名づけられた。のちに両者の発見がともに認められ、J/ψ粒子とよばれた。この粒子は、4番目のクオークであるチャームクオークの存在を実験的に証明するものであった。この業績に対し、1976年リヒターとともにノーベル物理学賞が与えられた。
[編集部]
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