テュルゴー Turgot, Anne-Robert-Jacques, (Baron de l'Aulne)
[生]1727.5.10. パリ [没]1781.3.18. パリ フランスの経済学者,政治家。ルイ 16世統治初期の財務総監。初め神学,のち法律を学び,1753年メートル・ド・ルケート (請願書審理官) 職を購入。 60年スイスにボルテールを訪れ,またこの頃百科全書派や F.ケネー,P.デュポン・ド・ヌムール,A.スミスなどと親交を結ぶ。 61年リモージュの地方監察官に就任,重農主義論を援用し,土地台帳を作成して物件の課税価値を明記させ,生産物の種類に応じて税率を定め,農業協会を奨励し,道路網の整備,拡大に努めた。 74年財務総監に任命されると,国内関税を廃止して穀物の国内流通の自由化を実施し,工業の面では 76年にパリのギルドを廃止し,商工業の自由を認め,さらに賦役の廃止を断行した。これは特権に執着する反対者の攻撃の的となり,彼は王の良識と勇気に期待したが,財界人,官職者,特権階級,教会人などの連合軍に王との関係を阻害され,改革は放棄された。 76年5月辞任。主著『富の形成と分配に関する諸考察』 Réflexions sur la formation et la distribution des richesses (1766) は古典派経済学のなかでも卓越した分析水準を示し,その後のイギリスおよびフランスの経済学に大きな影響を与えた。