テーゼ(読み)てーぜ(その他表記)thesis 英語

デジタル大辞泉 「テーゼ」の意味・読み・例文・類語

テーゼ(〈ドイツ〉These)

哲学で、定立ていりつ
政治運動の活動方針となる綱領
[類語]命題アンチテーゼ

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精選版 日本国語大辞典 「テーゼ」の意味・読み・例文・類語

テーゼ

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] These )
  2. ある問題について提出された命題。提議主張。〔アルス新語辞典(1930)〕
    1. [初出の実例]「定住者の文学、旅行者の文学、というテーゼを考えたことがあった」(出典:方丈記私記(1970‐71)〈堀田善衛〉八)
  3. ヘーゲル弁証法で、認識の出発点となる肯定的主張。定立
    1. [初出の実例]「其の芸術の技法には〈略〉テーゼ、アンチテーゼの綜合も勿論暗黙の間に諒解されて居るが」(出典:ラヂオ・モンタージュ(1931)〈寺田寅彦〉)
  4. 政治運動の活動方針となる綱領。〔モダン新用語辞典(1931)〕
    1. [初出の実例]「素破抜けて活気のある新進評論家の提唱するテーゼの審議がはじめられた」(出典:ダイヴィング(1934)〈舟橋聖一〉二)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「テーゼ」の意味・わかりやすい解説

テーゼ
てーぜ
thesis 英語
These ドイツ語
thèse フランス語

ある観念をまとめて表現・主張する文章。定立あるいは措定(そてい)ともいう。定立に対立するのがアンチテーゼAntithese(ドイツ語。反定立)で、特定の肯定的主張に対応する否定的主張をいう。両方の矛盾・対立が統一された状態をジンテーゼSynthese(ドイツ語。総合)という。カント二律背反では、同等の権利をもって語ることのできる、世界についての根本主張の最初の肯定的なほう、たとえば「自由は存在する」が定立であり、反定立は「自由は存在しない」である。フィヒテは、自我非我の対立を、両者をともに可能にする第三者の内に総合する立場を、「定立―反定立―総合」と定式化した。

加藤尚武

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