措定(読み)ソテイ(その他表記)position 英語

デジタル大辞泉 「措定」の意味・読み・例文・類語

そ‐てい【措定】

ある事物事象を存在するものとして立てたり、その内容を抽出して固定する思考作用。
定立」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「措定」の意味・読み・例文・類語

そ‐てい【措定】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 推論のたすけを借りないで、ある命題を主張すること。
    1. [初出の実例]「芸術と政治との関係は、たとい表向きは上記のごとく倫理的な措定(ソテイ)として考えられていたとしても」(出典現代文学論(1939)〈窪川鶴次郎芸術的価値と政治的価値)
  3. 推論の前提として置かれている、まだ証明されていない命題。また、ある論点について、反論を予想して、反論の前に主張される意見や学説。たとえば、二律背反における最初の命題や、弁証法論理における第一項にあたる命題のたぐい。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「措定」の意味・わかりやすい解説

措定
そてい
position 英語
thesis 英語
Setzung (Setzen) ドイツ語
Position ドイツ語
Thesis ドイツ語
These ドイツ語
position フランス語
thèse フランス語

定立(ていりつ)ともいう。(1)何かをそれとしてたてること、事態や対象の存在を想定したり肯定したりすることをさす。(2)狭義には、ある命題を証明なしに直接に主張する思考の働き、あるいはそのように主張された命題をいう。したがって措定は推論の開始をなす。(3)フィヒテでは自己や対象を生み出す自我の活動が、ヘーゲルでは弁証法の第一の契機モメント)が措定とよばれるが、いずれも前述の二つの意味をあわせもっている。両者とも措定―反措定―総合という運動を考えたが、フィヒテが措定を絶対的であるとするのに対し、ヘーゲルは総合に強調点を置く。

[藤澤賢一郎]

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