デュ・ボア=レイモン(英語表記)Du Bois-Reymond, Emil Heinrich

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デュ・ボア=レイモン」の意味・わかりやすい解説

デュ・ボア=レイモン
Du Bois-Reymond, Emil Heinrich

[生]1818.11.7. ベルリン
[没]1896.12.26. ベルリン
ドイツの生理学者。ベルリン,ボン両大学に学び,1840年より J.ミュラーのもとで研究を始め,同大学私講師 (1846) 。ミュラーの死去 (58) により,その後任として教授となる。のちベルリン大学総長もつとめた。 43年に,刺激が加わると神経の表面の電荷の分布が変化し,この変化が波及していくことによって刺激が伝達されることを明らかにし,筋肉についても同様の現象を発見,それを筋収縮機構と考えた。これらの成果をまとめて『動物電気の研究』 Untersuchungen über tierische Elektricität (2巻,48,84) を著わし,電気生理学という新しい研究領域を開拓した。彼はまた,H.ヘルムホルツ,C.ルートウィヒらとともに,生理学は物理学や化学に還元できるというスローガンを掲げ,生理学から生命力の概念を追放することに努力した。この運動は生物物理学運動と呼ばれ,生理学,生物学の発達に影響を与えたばかりでなく,S.フロイトの心理学理論にもその影響が認められる。彼は,科学思想家・啓蒙家としても活躍し,『自然認識の限界』 Über die Grenzen des Naturerkenntrús (81) など多数著作は広く読まれて科学の普及に役立った。

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