トビー(英語表記)Tobey, Mark

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トビー」の意味・わかりやすい解説

トビー
Tobey, Mark

[生]1890.12.1. ウィスコンシン,センタービル
[没]1976.4.24. バーゼル
アメリカの画家独学で絵を学び,初めニューヨークイラストレーターとなる。 1922年シアトル移住,当地の中国人画家から書を学ぶ。 25~27年フランス,ギリシア中近東を旅行。 34年中国,日本に滞在して書道を学び,その体験を絵画に取入れて,35年画面全体をカリグラフィーで埋めつくしたような「ホワイト・ライティング」と称する抽象表現を試みた。東洋宗教などにも強い興味を示し,ペルシアのバハイズムや日本の禅に傾倒した。代表作『ブロードウェー』 (1935,ニューヨーク近代美術館) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トビー」の意味・わかりやすい解説

トビー
とびー
Mark Tobey
(1890―1976)

アメリカの抽象画家。ウィスコンシン州に生まれ、シカゴで学ぶ。初めコマーシャル美術の仕事をしていたが、1918年からバハイ教に入信し、34年(昭和9)の日本旅行で書の美にひかれて以来、ホワイト・ライティングとよばれる深秘的な宗教思想につながる抽象絵画を開発した。シアトルに60年まで住み、晩年スイスのバーゼルで過ごした。遠近法に支配された西欧の立体空間とフォルムを否定し、跳ねるような線を使って深秘の光が遍在するイメージをとらえようとした。錯綜(さくそう)する線の無限連続はバハイ信仰と禅に由来しており、ニューヨークの抽象表現主義の先駆的位置を占める孤高の存在であった。

桑原住雄

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android