海外旅行者が旅行中の経費支払いの際に現金のかわりに利用できるもので、銀行が発行する一種の自己宛(あて)小切手である。旅行小切手ともいい、T/Cと略記される。トラベラーズ・チェックを利用することによって、多額の外国通貨を持ち歩くことが避けられ、また、紛失や盗難にあった際には、一定の手続をとると発行銀行がその損害を補償するので安全性も有している。トラベラーズ・チェックの券面上には2か所に署名欄があるが、旅行者は発行銀行または発行銀行と受託契約をしている金融機関などで購入したときに署名欄の一つにあらかじめ自分でサインをしておき、旅行先の銀行や両替商などでそれを現地通貨にかえる際、もう一つの欄にカウンター・サインcounter signatureをして、その照合によって本人が正当な小切手の所持人であることが確認されるという仕組みになっている。トラベラーズ・チェックは、その発行銀行の著名度にもよるが、世界各国のホテル、百貨店、レストランなどでも現金と同様に通用する。主要国の大銀行で発行されているが、アメリカン・エキスプレス、バンク・オブ・アメリカ、シティバンクなどが著名である。
[井上 裕]
海外旅行者による外国での各種の経費支払を便利にするため,銀行が発行する一種の自己あて小切手をいい,海外旅行者は出発前に外国為替銀行で購入する。旅行小切手と訳される。1891年アメリカン・エキスプレス社が発行したのが最初といわれる。国際的に米ドル建てのものが多いが,ユーロ建てや円建てのものもあり,それぞれ金額の異なる券種(たとえば100ドル券,10ドル券など)で発行される。旅行小切手面には二つの署名欄があり,旅行者本人が旅行小切手を銀行で購入する際に所定の署名個所に自署し,旅行先の外国で銀行,旅行社あるいはホテルなどのカウンターにおいてこれを現金化するときに,その係員の面前でもう一つの署名欄に副署し,この二つの署名照合に基づいて本人が正当の小切手所持人であることが確認される。このように旅行小切手は,その所持人が小切手面上に署名するだけで世界の各地で現金を入手しうるため,旅行者が多額の現金を携帯する不便や危険が回避される。
執筆者:河西 宏之
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…早くから国際化と業容拡大をすすめ,大正年間には横浜,神戸に支店を開設していた。また,1882年にマネー・オーダー(郵便為替)を始め,91年には世界で初のトラベラーズ・チェックを発行,さらに1958年には国内でのクレジット・カード(チャージ・カード)を発行するなど,拡大を続けた。この過程で,本業の急便業務は1919年に分離独立した。…
※「トラベラーズチェック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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