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ドラビダ語族 ドラビダごぞくDravidian languages

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ドラビダ語族
ドラビダごぞく
Dravidian languages

主としてインド南部に約1億 3500万人の話し手をもつ,20以上の言語から成る語族タミル語マラヤーラム語カンナダ語を含む南ドラビダ語派,テルグ語を含む中央ドラビダ語派,クルク語パキスタンバルチスターン地方に話されるブラーフーイー語などを含む北ドラビダ語派に分類される。共通の特徴として,音韻面では歯音そり舌音との対立があること,文法面では接尾辞による屈折・派生の組織が発達していることがあげられる。アーリア人の侵入以前には,現在インド=ヨーロッパ語族の諸言語が行われているインド北・中部にまで,広く分布していたと考えられる。

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デジタル大辞泉の解説

ドラビダご‐ぞく【ドラビダ語族】

Dravidianインド南部を中心にスリランカ北部などでも話されている同系諸言語の総称。古い文献を有するタミル語・テルグ語やカンナダ語・マラヤーラム語などを含む。

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百科事典マイペディアの解説

ドラビダ語族【ドラビダごぞく】

ドラビダ諸族の言語。タミル語テルグ語マラヤーラム語,インドのカルナータカ州とその周辺地方のカンナタ(カナラ)語,さらにオリッサ州のクイ語,チョタ・ナーグプル地方のクルク語,マディヤ・プラデーシュ州のゴーンディー語,パキスタンのバルーチスターン地方のブラーフイ語等が含まれる。
→関連項目ゴンドシンハラ語タミル

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世界大百科事典 第2版の解説

ドラビダごぞく【ドラビダ語族 Dravidian】

ドラビダ語族に属する言語としては,固有の文字と文献とをもち,インドの公用語ともなっている,タミル語,マラヤーラム語,カンナダ語,テルグ語と,文字をもたない18(あるいはそれ以上)の言語とがある。これら諸語は,地域と言語の特徴とに基づいて,北部ドラビダ語,中部ドラビダ語南部ドラビダ語の三つに大別される。まず南ドラビダ語には,南インドのタミル・ナードゥ州およびスリランカ北部のタミル語(4500万人),ケーララ州のマラヤーラム語Malayalam(2500万人),カルナータカ州のカンナダ語Kannada(3400万人)のほか,ニルギリ山中のトダ語(800人),コータ語(900人),クールグ地方のコダグ語(4万人),マンガロール周辺で話されるトゥル語Tulu(94万人)などがある。

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大辞林 第三版の解説

ドラビダごぞく【ドラビダ語族】

南インド・スリランカを中心に分布する諸言語の総称。タミル語・テルグ語・カンナダ語・マラヤーラム語などが含まれる。

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世界の主要言語がわかる事典の解説

ドラビダごぞく【ドラビダ語族】

インド南部を中心に分布する語族。20~30(分類によって数に幅がある)の言語からなり、北部・中部・南部の3グループに大別される。話者数はインドの総人口の4分の1に及ぶ。なかでも多いのは中部のテルグ語、南部のタミル語、マラヤーラム語、カンナダ語で、それぞれアーンドラ-プラデーシュ州、タミル-ナードゥ州、ケララ州、カルナータカ州の公用語でもある。スリランカ東北部でも話され、北部ではパキスタンに孤立して話される地域がある。言語的には、そり舌音の発達、膠着語的な性格、日本語に似た語順などの特徴をもつ。古くからインド亜大陸に入り定着していたが、後から入ったインドアーリア語派インド語派)の諸言語によって南部に追いやられ、相互に影響を及ぼしあいながら発達してきたと考えられている。系統については、その膠着語的な特徴から、ウラル語族アルタイ諸語との関係が議論されている。◇英語でDravidian。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ドラビダ語族
どらびだごぞく

主としてインド南部(タミル・ナド州、ケララ州、カルナータカ州、アンドラ・プラデシュ州)に住む人々によって使用され、インド・アーリア諸語と相互に影響しつつ発達してきた、古くて豊かな文化伝統をもつ語族である。黒褐色の肌、痩身(そうしん)、中高鼻、長頭という肉体的特徴をもつドラビダ人の先祖は、地中海沿岸から移住して紀元前3500年ごろインド亜大陸に入ってきたと考えられているが、その約2000年後さらに南ウラル地方から集団移住してきたアーリア人の勢力によって、インド南部に追いやられてしまったものと考えられる。この歴史的事実を裏書きするかのように、パキスタンのバルーチスターン地方やシンド地方に住む一部の住民は、いまなおドラビダ語族に属するブラーフイー語を話している。また、モヘンジョ・ダーロやハラッパーの遺跡から発掘された碑文に関する最近の研究により、前3250年から約500年間にわたりインド亜大陸の北西部に栄えた都市文化は、ドラビダ系のものであったろうと考えられている。
 ドラビダ語族の諸言語を話す人々のなかには、スリランカをはじめマレーシア、インドネシア、ベトナム、南アフリカ共和国などの諸外国に移住した者もおり、これらの人々を含めると、ドラビダ語族の総人口は1億3000万人強に達するものと推定される。また、この語族は、大まかに次の三つの下位グループに分けることが可能である。(1)北方グループ(ブラーフイー語、マルト語、クルク語)、(2)中央グループ(ゴーンディー諸語、クイ語、クウィー語、ガドバー諸語、パルジ語、ナイキ語、コーラーミー語、サバラ語、テルグ語)、(3)南方グループ(バダガ語、カンナダ語、コダグ語、コータ語、トダ語、マラヤーラム語、タミル語、イルラ語)。なお、トゥル語がどのグループに属するかは、まだ確定していない。以上の諸言語のうち大きな使用人口をもつものに、タミル語、マラヤーラム語、カンナダ語、テルグ語の四言語があり、それぞれタミル・ナド州、ケララ州、カルナータカ州、アンドラ・プラデシュ州の公用語となっていて、互いに異なる文字によって書き表される。ドラビダ語族のすべての言語は、歯音・歯茎音・そり舌音の三音韻系列をもち、名詞は格と数を、代名詞は男・女・中の三性を示し、動詞は主語の人称と数に応じて変化する。
 この語族のもつ膠着(こうちゃく)語的特徴から、同じ類型的特徴を有する他の諸言語、たとえばコーカサス諸語、朝鮮語、日本語、シュメール語、ウラル語族などとの比較を通じて、親族関係の有無が研究されてきているが、まだ言語学的に証明されるまでには至っていない。[奈良 毅]

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世界大百科事典内のドラビダ語族の言及

【インド】より

…彼らはやがて,次に来たアーリヤ族に押されて南インドに下り,彼らの言語が分化してタミル語,テルグ語などになったが,ブラーフーイー語のように,もとのバルーチスターンに残存している場合もある。この系統の言語(ドラビダ語族)には千万人単位の話者人口をもつものが四つあり,全人口の21%を占める。(4)4番目の種族は,チベット・ビルマ方面から入って来た人たちで,彼らのチベット・ビルマ語派系の言語はヒマラヤ山系と東北インド,バングラデシュの山岳・丘陵地帯に分布し,数十万人から1万人弱の少数部族民により話されている(ネワール語,マニプリー語など)。…

※「ドラビダ語族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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