日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナイアガラ滝」の意味・わかりやすい解説
ナイアガラ滝
ないあがらたき
Niagara Falls
カナダのオンタリオ州とアメリカ合衆国のニューヨーク州にまたがる大きな滝。その壮麗な美しさで世界的に名高く、年間200万人以上の観光客が訪れ、北アメリカでもっとも有名な観光地の一つとなっている。五大湖のうちエリー湖とオンタリオ湖をつなぐナイアガラ川がナイアガラ・ケスタ(緩斜面と急斜面・崖(がけ)が交互に現れる地形)を横切る部分に生じた。ゴート島によりカナダ滝(ホース・シュー滝、落差48メートル、幅900メートル)とアメリカ滝(落差51メートル、幅305メートル)に分かれる。滝をつくる表層は古生代の硬い岩であるが、下層は軟らかい古生層であるため、滝の裏側は大きくえぐられており、アメリカ滝では「風の洞穴」とよばれる洞窟(どうくつ)もある。滝そのものの自然の美しさはもちろん、夜間照明に映えるカラフルな美しさ、雪景色を背にした凍結した冬の滝の壮観さなど、いろいろな滝が楽しめる。カナダ側のクイーン・ビクトリア公園からの眺めがとくにすばらしいといわれ、カナダ、アメリカ合衆国それぞれの側に展望のタワーなどの施設をもつ。カナダとアメリカ合衆国はナイアガラ滝の景観を保護するため、観光シーズンの滝の水量を毎秒2830トン、他の時期はその半分に制限し、残りの毎秒3680トン(平均)の水を水力発電に利用している。この電力は付近の電気化学工業、あるいは周辺の都市に供給される。
[大竹一彦]